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次男の初恋

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 学校に着くと慎二とは別々の部屋に連れていかれた。
私が入ったのは入口に相談室という札の掛かった部屋だった。椅子にしばらく
座っていると校長と担任の女教師が入ってきた。校長が口をきった。
「お子さんは怪我はないようですね、実はですね、昨日街の公園で乱闘騒ぎがあり
ましてね」と事のいきさつを説明した。その間、女教師はただ黙って聞いていた。
最初は1対1で殴り合っていたらしいけど相手の分が悪くなって仲間が加勢に入り
次々慎二にかかっていったものの結局相手側の4人が倒されたというものだった。
幸い大きな怪我には至らなかったけれどその内の一人の鼻出血が中々止まらず病院に
行ったところ鼻骨骨折と分かり相手の学校に知れる事になり騒動が明るみに出たと
いうことだった。そこで双方の校長や教頭らが話し合いを持ち、先のゲームセンター
の一件もあり、その時はこちら側が被害が大きかったし今度は5対1の喧嘩という
こともあるのでそれぞれの学校で処置することで和解したと言うことだった。ただ、
相手に怪我をさせているので慎二を不問にする訳にもいかず「自宅謹慎一週間」に
するというものだった。その間はくれぐれも家の外には出歩かさないようにと校長は
念を押した。私はそのまま一人で帰ったのだが慎二は残ってさらに詳しく話を聞かれ
たらしい。そのことは間もなくボクシングジムの経営者の耳に入り拳を喧嘩に使った
という理由で破門を言い渡された。
 夏休みが終わる頃から、もっと正確に言えば自宅謹慎となり家で一日中ゴロゴロする
ようになった頃から慎二にある変化があらわれた。それまで本など読む姿を見たこと
はなかったのに気が付けばいつも何かを読んでいた。また、私が趣味でやっている
写真の雑誌やフォトグラフを本棚から持っていって読んでいるようだった。
ある時、「使っていないデジカメがあったらくれないか」、という。写真に興味を
持つことはいいことだと思ったのでサイバーショットとプリンターを与えた。
高校への進路相談の時期となり三者面談のため学校に出向いたのだがその時初めて
真司の口から将来はプロのカメラマンになりたいという言葉を聞いて驚いた。
そのことは高校の3年間でゆっくり考えても遅くはないと担任はいい私も同調した。
しかし慎二には写真部のある高校、そして大学の写真学科か写真の専門学校へと
彼なりの夢を描いているようだった。「目標を持つことはいいことよ」と担任は
嬉しそうにいい私にも同意を求めるかのように「そうですよね、お父さん」と言った。
 翌年、慎二は私立の高校に入学し写真部に入り在学中に何度かコンクールに入選し、
3年時に部長になった。結局、大学ではなく写真の専門学校のAO試験を受験し合格した
その前年、英一は一年浪人はしたものの国立の医学部に合格し2年生になっていた。
作品名:次男の初恋 作家名:mito