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次男の初恋

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 例の骨折が完治してしばらくした頃慎二が一枚の紙を持って帰ってサインしてくれ、
という。それは町の空手教室の入会許諾書だった。
「お前、入りたいのか」と聞くと
「うん、手ももう大丈夫だししばらく運動もしていないから」という。
 誰か友達に誘われたのかとも思ったが自分一人で決めて教室に頼みに行ったと
言う。経営者は子供が一人で入会申し込みに来たのは初めてだと言って書類に
サインと電話をくれるように言ったらしい。私は電話をし、慎二は教室に
通い始めた。一ヶ月もすると庭で型の練習をし、
「撃砕第一って言うんだ」などと自慢した。
 空手教室に通い始めたのは正解だったようで学校で問題を起こすこともなくなったし
性格も以前に比べると大人しくなったようだった。
 長男の英一は6年生の時、中学への進学に関して担任から他県の中高一貫教育で
知られる私立の進学校への受験を強く勧められ受験したところ合格し本人の
希望もあったので親元を離れ寄宿舎に入った。一方、慎二も無事に小学校を卒業し
近くの公立の中学校に進学した。そこには他の小学校からの知らない生徒たちも
大勢いるので小競り合いが頻発した。自然と2,3のグループが形成されていった
らしいが慎二はどのグループにも属さず一人離れた所にいたようだ。やがて彼は
空手教室をやめ今度も自分からさっさとボクシングジムに入会した。丁度その頃
そのジムから世界チャンピオンが誕生したというのも影響があったのかも知れない。

 2年生の時、文化祭に遊びに来た髪を染めた卒業生のグループと3年生の悪ガキ
グループが校内でにらみ合い体育館の裏でいざこざを起こした。そのことに
気づいた教師たちが駆けつけた時にはすでに騒動はおさまっていたらしいのだが
後にその顛末についての話が私の耳にも入ってきた。それによると対立した二つの
グループに慎二が割って入って、どうしてもやるなら俺が相手になる、と言ったという。
その気迫に怖気ずいて双方解散したというのが真相のようだった。その時、慎二は
すでに身長180センチ体重は75キロはあった。
 3年生の組み替えで女教師の中で美人と評判の教師が慎二のクラスの担任となった。
そして、夏休みにある事件が起きた。それは慎二の中学の悪ガキグループが
ゲームセンターで他校の中学生グループと些細なことで喧嘩になりそのまま
公園に場所を移し乱闘騒ぎを起こしたのだった。運悪くこちらのグループは
こてんぱんにやられたらしい。慎二はそこには加わってはいなかったがそれを
伝え聞いて相手のグループのボスにタイマンを申し込んだというのだというものだった。

その夜、遅い時間に電話が鳴った。慎二の担任の女教師からだった。
「慎二君はいますか」
「さっき友達の家から帰って風呂に入って寝たところです」
というと
「実はちょっと問題を起こしまして、慎二君はどこも怪我はありま
せんでしたか」
と言い明日慎二君と一緒にちょっと学校に来てもらえないかと言った。
作品名:次男の初恋 作家名:mito