Today.
「研究の成功を邪魔してるやつが目の前にいるんです。もうそいつの仕業ってのは疑いようがありません」
他の人が聞いたら、馬鹿馬鹿しいと言って吐き捨てられる話だろう。それでも笹本さんは真剣に聞いてくれた。彼女も僕と同じように、姉がずっと目を覚まさないのは、彼女の頭の中に原因があると考えているからだ。
そして、成功の見えない未来を突きつけられて尚、僕らが悲観的でないのは、この機械が完成しない限りは、姉が死ぬことはないからだ。
矛盾した思いを抱えて、僕らは行き止まりに体当たりを続ける。そんな意味不明さが、貘は嫌いなのかもしれない。彼はこっちを睨んだまま動かなかった。