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D.o.A. ep.44~57

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娘とその想い人を気を利かせて二人にしてやり、アントニオ船長は外へ出てくる。
例の魔力レーダーの周りには、部下たちと、見知った顔が待っていた。

「や、おつかれおつかれ〜。お、青いあんちゃんもおるやん」

「船長!いっぺんでお釈迦になりかけるとか、買うにゃったらもっとマトモなん買ってくださいよー」
「いくらなんでも100年前とかアンティークすぎでしょ。ありえませんわ」
「回路焦げついとるし、部品とかも時代遅れやし、互換品工夫すんのにどんだけ苦労したか!」
「ぼくらがいんかったら、早々にただのゴミですね、破砕ゴミ」

件のブツは、出番を終えたとみるや眠りについてしまった。
だが、ジャックが行方不明になり、捜索に役立つであろうということで、再び必要性が生じたのだ。
もう一度働かせるべく、苦心に苦心を重ねつづけた。
のに、やっと叩き起こす目途がついた思ったら、何食わぬ顔で彼は帰ってきた。
エルマンの数割増しの説教には、そんな私怨も少し含まれている。

「うんうん。ウチの技術者諸君はホンマに優秀やなあー」
彼らはあくまで「魔道具好き」レベルであって、本格的な技師は一人もいない。
そんな彼らが知恵を絞って、仲間を助けたい一心で、ここまでやってくれたのだ。
針のむしろ状態ながら、アントニオ船長は嬉しくて、相好をくずさせた。

「やったら昇給とか特別手当とか、感謝を目に見えるカタチにしてほしいですわ」
「ん…む。んで、起動はできそうか。ほら、あんちゃんも気になるやろ?」
「………」
予定では宝石レオンハートを手に入れウハウハ、団員の給料も気前よく上げてやろうと考えていただけに、目をそっとそらしつつ話題もそらす。
彼らがジャック帰還後も、魔道具をいじくっていた理由。
即ち、未だ行方知れずライルの探し人のためにも、とにかく使えるようにしろと言っておいたのだ。
「ええ。この人に手ぇ貸してもろたんですー」
いわく、組み込みなおした回路を起動させるのに、絶妙な力加減で魔力を通す必要があった。
されどそれは魔術士の領分だ。無論、彼らの手には負えず、困ったところをティルが通りかかって申し出たという。
「ライルくんのコレやと思たら、あんちゃんも涼しい顔して色気付いとるんかいな」
「…はあ?」
小指を立ててにじり寄るアントニオ船長に、彼は心底意味がわからないというように眉をしかめる。
「えーだって、女の子探しとるんやろー?可愛いんやろー?」
「すいませんお兄さん。船長はまあ…こういう人なんで、あんま気にせんでください」
「…いや、いい。起動できるなら早くやってみてくれ」
「がってーん。ただいま」


作品名:D.o.A. ep.44~57 作家名:har