D.o.A. ep.44~57
そうして、黄金の獣は、瞬きの間に消滅した。
琥珀色をした何かがコトリと地に落ちて、とけて消えてなくなる。
そうすれば、さっきまでそこにいた跡など、欠片も残すことなく。
まるで最初からどこにもいなかったかのようだ。
だが、確かに、ここにいた。
それは決して色褪せることなく、ずっと自分の中に残っていくだろう。
「…一考に値する、やって」
最後までらしいので、少し笑って。
もう二度とまみえることのない姿を想い、涙を堪えるように、空を仰ぐ。
時を待たずに日が昇る。
彼はバンダナをしばり直し、帰るべき場所へ、踏み出した。
作品名:D.o.A. ep.44~57 作家名:har