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D.o.A. ep.44~57

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「!!」

今まで戦っていたアントニオ船長らは、そのことに驚愕を禁じえない。
あれだけ自分たちを苦しめた不死身のような猛獣が、一撃のもとあっさり掻き消されたのだから。
男は何のことはない、というふうに槍をくるりと回して肩に乗せた。
ジャックを見下ろすと、目を細めにっと笑う。
「……あ」
「ジャック!大丈夫?大丈夫なん?!」
男をぼんやりと見つめていたジャックは、細道を渡りきってきたネイアに肩をゆすられ我に返る。
「は、はあ、大丈夫です…」
見覚えがある姿だと思ったら、出発前に二日酔いを患い、海で嘔吐していた男だった。
確か傭兵さんと呼ばれていたが―――その名は伊達でなかったということか。
ジャックが腰を抜かしている間に、男は長槍の柄で肩をたたきながら、交戦中のアントニオ船長らに近寄っていく。

「なんちゅう使えんおかたやと思っとったけど、もう具合はよさそうやな」
「おお、おかげさんで」
彼は鷹揚に答えると、もう一振り、取り出す。こちらは短槍。彼は、双槍の使い手か。
「に、しても!どうなっとるんや?やってもやっても、キリがあらへんのに」
アントニオ船長は、サーベルで獣たちを切り裂きながら、果てのない戦いの苛立ちを吐き出す。
赤毛の男とは違い、こちらは斬っても突いても、再び形を取り戻すので、こちらは疲労が重なるばかりだ。
「ああ、はは、そりゃダメだわ」
男は苦笑を漏らし、独特の構えで双槍をにぎった。

「こーいう出所のわかんねえ化け物にはね、それに合った戦い方ってモンがあんの」

唇が一言二言分うごき、同時に飾り気のない長槍と短槍に淡い光を帯びた紋様が浮かび上がる。
両手にあるそれを器用に振るい、地を蹴り、半身を意外なほどしなやかに躍らせる。

「よく見てな、脳筋ども。このグラーティスさんが華麗なお手本、示してやんよ!」


作品名:D.o.A. ep.44~57 作家名:har