D.o.A. ep.44~57
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拠点を設置しているうちに、すっかり日が暮れていた。
出発は明日の早朝という予定となり、今宵は火をかこんでどんちゃん騒ぐらしい。
明日に差し支えないかといったら、みなタフな野郎ばかりなので大丈夫、と自信ありげにかえされた。
「あんまり呑みすぎんほうがええですよ〜〜〜この島、こわ〜いこわ〜い怪物が出よるんですよお〜」
「あはっはっは、なにゆーてんねん、返り討ちにしたるわ、かかってこいやー」
げらげら笑いの中心で、ジャックは変わらず明るかった。
発泡酒をそそいだジョッキを片手に、身振りも大げさに、この島で過ごしてきた日々の思い出を語る。
どざえもんかと思ったんですわ!とライルとの出会いから始まり、飯がいかに美味いかを懇々と語られるのは、悪い気はしない。
ライルはジュースにちびちび口をつけつつ、ティルの姿を探したが、また一匹狼ではなれた場所にいるようだった。
「……で、どないするか決めたか、ライルくん」
アントニオ船長が、よっこらせ、とライルのとなりに腰かけて、酒をあおる。
「宝探し。 どや」
「あの、ティル…、俺と一緒にいたエルフ、あいつはどう、いってますか」
「あんさん次第ってかんじやったね。あんまりそういうの、興味ないタイプやろうな、とは思てたけど」
「…………」
ぐびり、とジュースを飲みこんでのどを潤おす。
「俺は…お宝には興味ないです」
「そか…残念やな」
「でも、さがしものがあるから、いきます。だからわけまえとかは一切、なくていいす」
「さがしもの?」
「大事な、人だから…絶対見つけたい」
「あんさん、10日はこの島におるんやろ?それで会えんってのは、つまりおらんってことやと思うが」
「いないならいないってコト、この目で確かめたいです」
「そうか、そうか。わかった、探し人、あんさんのコレやな」
ニヤニヤ笑って小指を立てている。赤ちゃんか?ととったので、イヤ、コレです、と薬指を立ててみた。
「え?なに?それ?」
「ねえちゃんです」
「あ、ああ…なるほどね」
アントニオ船長はジョッキを空にして、立ち上がると尻をはたき砂を払う。
「まあ、何の目的にしろ、冒険はええモンやで。人生を豊かにする宝になるさかいな」
癖なのか、頭を軽く後ろになでつけて、にっと歯を見せる。
「この島、われわれアントニオ海賊団は、獅子の島と名づけたり!
目指すは世界にただひとつといわれる伝説の宝石! その名も、レオンハート!」
「え…?」
高らかに宣言したアントニオ船長は、周囲から口笛と喝采を受けたが、ライルとジャックだけは呆然とするほかなかった。
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作品名:D.o.A. ep.44~57 作家名:har