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D.o.A. ep.44~57

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「で?あんさんらは?この島は連絡船も通らんさかいに、そうそうこれる島とちゃうな。漂流?」
「漂流…とは違うけど…事故で。本当にいきたかったところは別の場所なんです。俺たちは、ロノアって国からきました」
「ロノア…?名前しか知らんな…で、ホンマに行きたかったトコってどこなん?」
「…レニシア共和国だ。遠いか」
「そりゃまあ、遠いな。でも行ったコトはある」
大陸で他の国と密接するレニシアは人の行き来が多いそうだ。
が、ロノアは島国といっていいのでそれほど異国からの往来はなく、船もほとんどが漁業やロノアに点在する港を結ぶために使われる。
アントニオ船長は壁の地図をはがして、ローテーブルへ広げてくれた。

「これ、今まで俺らが冒険してきた海を、我が優秀なる航海士が描いた地図なんや。
今おるのが、大体ここ。で、レニシアは、この大陸こえて、さらに北のここやな」
「………」

指で示してくれた現在地は南の海で、レニシアとは大陸と大洋を隔てている。
縮尺は知らないが、ちょっとやそっとでこえられる距離ではないことを知った。
そして、目を皿にしてロノアとおぼしき陸を探すが、どうも描かれていないようだ。
当然といえば当然だ。この地図は彼らが行った場所しか描いていないのだから。

「…レニシアへ行く手助けを頼みたい。
俺たちのためだけに、レニシアまで行ってくれとは言わない。せめて、ここから一番近い大陸まで」
「ふむ。アルルーナか」
ここから一番近い陸は、アルルーナというらしい。ティルの要求をのみこみ、アントニオ船長はあごひげをなでおろす。
「ちょうどそこで降りるヤツも乗せとるからな。ええよ、ちゃんと送り届けたる」
「ありがとう、船長!」
「――――ただし」

彼は頭を後ろに軽く撫でつけると、
「――――この島での用事が終わったら、や」
用事?と首をかしげる二人をよそに椅子を立った。
地図を壁にはりつけなおしながら、異国の歌を口ずさむ。

「あんさんらも、よかったら手伝ってくれや、宝さがし!」

そう誘いをかけ、意気揚々とした様子で足早に部屋を去っていく。
どういうことかたずねるべく、それを追おうとした二人の袖が、軽く引っ張られた。
振り返ると、アントニオ船長の娘であるネイアが、どこかもじもじとしながら、こちらを見上げていた。
はつらつとした彼女に似合わぬ態度だ。袖をつかまれたまま佇んでいると、意を決したように口が開かれた。

「…あの…、ありがと。 あいつ…ジャックのこと、いろいろ助けてくれて」


作品名:D.o.A. ep.44~57 作家名:har