小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

D.o.A. ep.44~57

INDEX|10ページ/55ページ|

次のページ前のページ
 



「……ひさ、しぶり」

そして、たたずむ長身に、おずおずとぎごちなく声をかけた。
相変わらずの仏頂面は、ライルを一見すると、小さくうなずいた。
話したいコトは山とある。
流れ出ないのは、話すべきことが多すぎるからか、うまく言葉にできないからか。
ある種、獣と対峙していた時よりも、空気が張りつめている気がしなくもなかった。
しかし、いつまでも沈黙を保っているわけにもいかない。
思い切りは、ライルの方が早かった。

「リノンは、一緒じゃないのか?」
「…ああ…一人だ」
「…そうか」

応酬が途切れる。おどろくほど短い。
自分は、こんなに口を動かすのが苦手だったろうか。
目をせわしなく泳がせながら、あらためてリノンの存在がかけがえないと気付いた。
彼女がいたら、三人で、なんとか情報交換も進むだろうに。
三人、と考えて、はたとジャックの顔が浮かび上がってきた。
思わず、ティルの上着の袖をつまむ。

「…?」
「あ、あの。一人じゃないんだ、俺」
「それは、」
「つまり…先に流れ着いてたヤツがいて、そいつと一緒にいた…わけで」
「…そうか」
「昨日は、そいつと…隠れ家つくってた」
「……」
「…お前も、…来ないかなって」

来ないかも何も、極々少数の漂着者が、わざわざ拠点をばらつかせるのは得策ではない。
至極当然の判断として、ティルはその誘いに応じた。







ライルとティルは、ジャックの待つ隠れ家へと向かう。
終始無言で、自然無心になりつつ、ひたすら足を前へと突き出し続けていた。
やはり、明かりがないのとあるのでは、歩調も歩幅も違う。
そのおかげか、なんとか、夜明け前までには戻ることができた。

ちなみに、第2の漂着者に出くわしたジャックの第一声は、「耳、長ッ?!」であった。


作品名:D.o.A. ep.44~57 作家名:har