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少年少女の×××

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第参話







本日は晴天であり、休日の土曜日である。佚はそわそわとあるカフェの前にいた。彼はかれこれ待ち合わせ時間の二時間前から行ったり来たりを繰り返していた。今まで友がいなかった彼にとって、【待ち合わせ】ということですら初体験なのである。十代の若者としてはそれは稀であり、本人はそんな初体験にそわそわとしていた。そして、待ち合わせの時間十分前。
「あれ、早いね」
待ち人来たり。制服とはまた違い、私服の蓮になぜだか緊張する。だがいつもと違い眼鏡をしていることに気づいた。
「だて眼鏡か?」
「あぁ……高校二年を期にコンタクトしてたけどやっぱり慣れなくてね。眼鏡に戻った」
「ほー眼鏡しとる奴は初めて見たわ」
人間以外の種族は特に視力が落ちると言うことはないらしい。眼鏡をしているのは稀中の稀らしい。人間の蓮にとったら特に珍しくもないが。
「んじゃ、行こっか」
今日は佚の第二能力を治療する為に祈祷資格のない祈祷士のところへと向かう約束をしていたのだ。
噂の祈祷士は街外れに住んでいるらしく、電車とバスを乗り継ぐことになった。そして、その電車で佚の第二能力の強さを実感することに蓮はなった。
乗る予定であった線の急行には休日になれば昼間であろうと混みあう電車であるが、現在、佚を中心に半円状に人々が空間を空けていた。そして、相変わらず落ち込みを見せる佚と悠々と座れて周りの人々のことなど気にしていない蓮がいた。
「ところで」
目的とする駅は終点駅であり、急行といえど長い道のりだ。これを機にと蓮は疑問を口にした。
「佚は本当に友達いないの?」
「?何でや?」
「いや、これはうちの想像だけど、その第二能力は確かに強力だし、友達いないのもわかる。けど、それならお前はもっと暗い性格というか……陰気な奴になっていても不思議ではないと思うんだけど。誰かいたの?」
友達はいなければ、佚によれば両親にもその第二能力は影響していたらしい。ならば人間関係には希薄なものとなり、佚のようなすぐ落ち込みはするが、このようにどちらかといえば明るい性格になるとは考えにくかった。
佚は思い当たる人物はいるらしいが、なんと言ったらわからないと言った感じで天井を見つめた。
「んー……友達というか……兄弟がな……」
「兄弟?」
「人狼は三つ子や双子が多くてな、実際俺も、下の弟達も双子なんや。その三人だけは俺の能力は平気らしいんや」
「ほー……同じ血が流れてると耐性があるのかな」
「わからんな……まぁこの三人のお陰で俺は辛うじて人間関係に希薄になることはなかったんや」
その兄弟達を思い出しているのか、柔らかな優しい笑みを浮かべている。とても仲がいいのだろう。
一時間近く電車に乗り、そこから降りてちょうどやって来た目的のバスに乗り、しばらく揺られて、降りると次のバスまで距離があるので歩くことになった。
「随分遠いやんな」
「事情があってね」
街外れ近くになると、広い土地があるからか、大きな屋敷が点在していた。富裕層の住居であることは確かだ。
「もぅっ!なんなのよ!」
突然、甲高い女性の怒声が響いた。反射的に二人はそちらに顔を向けてしまう。
見れば広い二車線道路の向こうの道で、怒りに綺麗に化粧をした顔を歪めた女と尻餅をついた体勢で片手を片頬に手をあて、目の前の女を信じられないという顔で見上げる、肥満体型の男性がいた。
「な……何をするんだ!?」
「あんたがしつこいからでしょ!?何が『俺を裏切ったのか!?』よ!!先に裏切ったのはあんたでしょ!!」
「ふんっ、最初は私もどうかしてたわ。あんたの【魅了】に騙されたけど、目が覚めたの」
そんな二人の後ろ側にあった大きな鉄の門が重い音を引き連れて開いた。ある人物を囲うように黒服とメイド服の集団が門のすぐ内側まで整列していた。
そして、その内側の人物とは……
ディージャル…あの、冷徹生徒会長であった。休日ともあって、ルックスに合うスタイリッシュな私服だ。
「ギット、この国では【亜朱】と呼べといつも言っているだろう」
集団の中でも長的存在の老人にですら、あの冷たい瞳は向けられていた。
「はっ、申し訳ありません」
ギットと呼ばれた老人はすぐに謝罪を口にした。蓮は思わず、まるで王様だなと呟いた。
実は蓮はここが生徒会長の家だとは知っていた。しかし、彼女がいつもこの道を通るのは平日のみ運行している直通バスを利用しているのだ。偶然会う機会など無かったのだ。
生徒会長は自分の住居の塀のそばで騒ぐ、肥満体型の男性とヒステリックな女性を見つけた。すると、女性はみるみる顔を輝かせた。
「ガナット様!」
と、叫んだ。それと同時に肥満体型の男性は絶望的な表情を浮かべた。
「お、お前、あいつに……」
「そうよ!だからあんた用なしよ!」
再び二人は言い争いを始めてしまった。
だが、生徒会長はその二人を一瞥しただけで何も見なかったかのように視線を戻した。その流れで別の人物が視界に入った。自分の第二能力を効かなかった人間…
「おっと…見られた」
「な、なぁはよ行こうや。俺ら関係無いんやし……」
佚は生徒会長が苦手なのか冷や汗をかきながら蓮の腕を強引に引っ張りながら立ち去ろうとした。蓮も連れられるまま引きずられて行った。
「あの娘は……」
生徒会長も気づいてはいたがとるに足らない存在であることに変わりない。
自分とは交わらない。

作品名:少年少女の××× 作家名:yue