少年少女の×××
出ないわけにはいかないので、仕方なく整列されたパイプ椅子に座る。
ちなみにすっかり気に入られたのか、ちゃっかり隣にはアラートが座っていた。
「あの…えっと…」
どうやら蓮をどう呼んでいいかわからないのか、もじもじとしていた。
「好きに呼んだらいいよ。水ヶ谷しかり、蓮しかり」
「じゃあ…蓮ちゃん!あの、知ってる?今期の生徒会長のこと」
今期の生徒会長。高校一年入学時よりもさらに前からその生徒はとても有名だった。西洋の伝説的な種族の『吸血鬼』。どの種族よりも聡明で、眉目秀麗であるが性格が冷徹で、中には過激で残忍な性格な者までおり、個人主義が強い。その中でも歴代でも突出した才能を持つ天才が蓮の学年よりもひとつ上ということでかなり有名だった。特に興味のない蓮は名前も顔も知らない。
「あー…そういや生徒会長だったっけなぁ」
「す、すごく傲慢らしくて、生徒会長が原因でやめた人がいっぱいいるらしくてね…」
「へぇ…」
素っ気ない返事にアラートは
「興味ないの?」
と尋ねた。
「うちは目立ちたくない性分だし、そんな存在にはなるべく関わりたくないからね。て言うか、人間のうちには太刀打ちできるわけないしね」
関わりたくない。
その考えは賢明であり、正しかった。
だが、それは儚くもその願いは脆くも崩れてしまう。
しがない人間、水ヶ谷蓮はこれより数日後には確実に願いとは反する現実を見ることになる。