ビッグミリオン
「その時の事は何か考えておくから、少し待っていてくれ。さてと、じゃあひと泳ぎしてからみんなでメシでも食って腹ごしらえしよう。勝負はまだまだ続くんだし!」
「おっけー。でも……その前に大人用の水着を買いに行きましょ」
そう言うが早いかがしっと俺の腕を掴み、ショッピングモールの方向にぐいぐいと引っ張って行った。
残された紫苑は、謙介を強制連行していくあずさの後姿をいつまでも見つめていた。
その眼光は濃い色のサングラスに隠されていたが、決して二人の幸せを望んでいるような眼には見えなかった。