ビッグミリオン
「後ろの彼は、コンテナ船の乗組員だそうだ。中で俺が後ろから襲われそうになった時、あの人が飛び込んできて俺を助けてくれたんだ。あの病院の中はもうパニックになっていて、正気の人たちはバリケードを築いてどこかに閉じこもっているらしい」
「助かった。君タチ日本人? 俺はノブ。日系アメリカ人ネ。健康診断に来てみたら、みんないきなりおかしくなっタヨ。他の仲間はこの騒ぎでどこかに消えタネ。ホントゴメンナサイけど、ライジング・サン号まで送ってクダサイ。二時間後に出港にする予定ネ。日本にも寄るから船長と交渉シロ」
ところどころおかしい所があるが、割と流暢な日本語で話す。
「いい名前の船だな。まかせとけ。後で分かると思うが、君はかなり運がいいぞ。よーし、じゃあまずは輸血するのに安全な所を見つけよう。また少し揺れるが、我慢してくれ」