ビッグミリオン
鬼頭小次郎から渡された端末には、パナマ市内を移動する光点がはっきりと映っている。そう、『鍵穴』である春樹にも、過去にしっかりとチップが埋められていたのだ。
「あのおじいちゃんとの約束は破ることになるけれど、孫の紫苑とその仲間の口は永遠に塞ぎなさい。彼らは知りすぎているし、私の計画の邪魔になるかもしれない。第一、もう用はないわ」
「承知しました。確認ですが、鬼頭春樹以外は本当に始末してよろしいのですね?」
答える代わりに面倒くさそうに頷く彼女を横目に見ながら、ハイエナは三人を乗せたハンヴィーのアクセルを踏み込んだ。