RPG!!
川沿いを南下し歩くこと数時間が経とうとした。
辺りはもう真っ暗で、視界は不良。
文化があまり発展してない村近辺に街灯などあるはずもなく、聞こえるのは川のせせらぎと、野鳥の共鳴。
しかし、オーロは足を休めず迷いなく進む。
まるで、恐怖など忘れているかのように。
「……オーロよ。」
「ん? なんだよ?」
「喋ってよ。」
カリバーは恥など忘れているかのように堂々と甘えた。
「仲直りしかけの恋人か。お前は。」
「おお! なるほど。面白い切り返しだ。そういえば恋人と言えば―――」
「怖いからって、ツッコミを話題に広げるんじゃねーよ!」
というか、今恋バナしようとしたよね、こいつ。
勇者と聖剣が恋バナて。世界崩壊した方がマシだ。
「だって、暗いじゃん! まだ、魔王の城の方が松明ある分フレンドリーだ!」
「比べるスケールでかすぎなんだよ!
じゃあ、光れよ。聖剣だろお前。」
「聖なる剣ってだけで光るか! 光れるなら最初から光ってるわ! てか、錆びないわ!」
ごもっともだった。
オーロは額の汗を拭きながら、悪かったな錆び剣、と悪態をつく。
代謝が良くなったためか汗が止まらなかった。
「くそー。早く鍛冶屋のリラックスコースでこの錆を無くしたい!」
「鍛冶屋はエステサロン感覚か! その前に鍛冶で錆取れるのかよ。」
「聖剣ってだけでVIP扱いだから、きっと取れる。」
「……ほら、馬鹿言ってるうちに、村の灯りが見えてきた。」
眼前に優しく灯る点々。山間に彩る蛍火のようだった。
暗く寒い森を抜けた後なら、なお温かく感じるだろう。
希望という言葉にぴたりと合う。そんな村の容貌だった。
オーロは、足早に村へ急ぐ。
村の入り口には、丸太でできた門がそびえ立っていた。
暗くて近づかないとわからないが、太く長い丸太が横へと連なるように村の柵を成している。
そうして村は閉鎖的に丸太の柵で覆われていた。
門番らしき村人にオーロは駆け寄る。
「おう。ただいま。」
「オーロか。こんな時間にどこほっつき歩いてたんだ。魔物も多くなったというのに、あまり親父さんに心配かけるなよ。」
「悪い悪い。」
「で? 収穫はあったのか?」
「ああ。」と誇らしげにオーロは村人に背負ってた籠の中を披露する。