RPG!!
「見てくれ。レアリーフを10本程度だが、収穫した。」
「おお! ってよく分からんが、大振りの薬草だな。お前みたいな調合馬鹿が好きそうだな。」
「うるせえ。門番ばかりしないで、ちったぁ自然と触れ合ってみろ。
あと、聖剣1本。以上だ。」
「軽っ!? 聖剣より、レアリーフのくだりの方が長いってどゆこと!? 川で獲れた良くある魚じゃないぞ!我は!」
カリバーが猛抗議の最中、村人は目を丸くする。
「おお! ってよく分からんが。」
「分かれよ! ことの重大さに気づけよ! 村人!」
「喋る剣なんて生まれて初めてみたぞ。オーロすごいもん発掘したな。」
「いや、岩に刺さってた。魚獲るより楽に手に入れたよ。」
「確かにね! 何も言い返せないのがホント悔しい!」
門番は朗らかに笑うと門をせり上げオーロを村の内側に導いた。
村の名前は、スターティア。
もともと、この大自然に囲まれたこの村は、大陸一といわれるくらい、星が綺麗に見える土地ということが有名で名を馳せていた。
多くの天文学者や天文魔導師が訪れることも有名で、村おこしで発売された『流星焼き』という星型のパンケーキが村の売りだ。
ちなみに、『流星焼き』。考えたのはオーロの父である。
「あっ、オーロだ!」
「お兄ちゃんおかえり〜!」
「オーロぉ、今日、転んで怪我したから薬ちょうだい!」
村の子供数人にオーロは囲まれる。ちょうど遊びから帰ってくる途中らしく、服は土であちこち汚れてた。
「あげんわ。その程度だったら5E(エーテル)で、塗ってやるよ。塗るのはサービスしてやる。」
「オーロよ。金取るのか。子供に。」
「格安だ。俺の調合薬は1瓶5000Eはするからな。」
剣がしゃべったぁぁぁ!?
子供達が、目をキラキラさせ騒ぐ中、オーロは手馴れた様子で擦り剥いた膝の手当てをする。
E。エーテルと読む。世界共通通貨の単位で、薬草1つ30Eが相場だ。
「こら! 我は刃物だぞ。子供が無造作に触るんじゃない!」
「だってお前錆びてて、切れ味悪いから平気だもんー!」
「なっ!―――」
カリバーはかなり傷ついたようだ。ちょっと剣先がうなだれている。
傷つける前に、ハートを傷つけられたようだ。
「こらこら。大事な商品だ。また今度見せるからベタベタさわんじゃねーよ。」
「ありがとうオーロ!」
治療を終えたオーロは、笑顔の子供から5E受け取ると、カリバーを担ぐ。
「じゃあなお前ら。夜更かしすんなよ〜」
「ばいばーい! オーロと剣!」
各々、自宅に帰っていく子供達。
オーロも再び帰路に戻る。
「まだ、傷ついてんのか。」
「当たり前だ。切れ味悪いて……斬れない剣は、ただの剣だ。」
「いやもう剣ではねーな。」
「オーロよ。もしこの世界が物々交換の世界だったらどうする?」
「……確かに辛いな。」
即ち、全てのモノの価値が等しい世界。商人の要らない世界。
アイデンティティの問題な訳だ。カリバーにとっては。
「まぁ、気にすんなよ。売る前に鍛冶場もってってやるから。」
「本当か?」
「ただ、交渉はお前がしろよ。VIP扱いなんだろ?」
「当たり前だ。我は聖剣。魔を切り裂く剣なり。」
「でも、俺ん家じゃVIP扱いされねぇからな。」
オーロは一軒の扉の前で立ち止まる。
そこは小さな雑貨店だった。
「ようこそ。我が家『星くず屋』へ。」