RPG!!
「気に入った……」
聖剣は、寝言のようにポツリと呟く。
オーロは気にも留めず立ち上がると、滝を後にしようとした。
勇者になんてなる気がさらさら無い青年の背中に
聖剣は言葉を投げかける。
「オーロよ。喋る剣は珍しくはないか?」
「ん?」
聖剣は続ける。
「我は、間違いなく聖剣。しかも、勇者の称号を与えられるのを許された伝説の剣だ。」
「自慢かよ。あー、はいはい。かっこいいねぇ〜」
「どのくらいの価値があると思う?」
オーロの目の色が変わった。
森が風でざわめき始める。
しめた。聖剣は心の中で笑った。
「……わからん。流石にそんなブツを取り扱ったことないし、ジャンルは武器商人だしな。」
「わからんさ。我は世界で一本しかない。お前が勇者になれないのなら、我にも考えがある。お前にとっても悪くない話だ。」
交渉。
聖剣がただの商人見習いに交渉を持ちかけた。
しかも、運良く
「聖剣様が人間如きに取引もちかけてくるなんて……聞かせろよ。」
彼は、大の取引好きで、根っからのネゴシエイター(交渉人)気質だった。
剣が続ける。
「我の望みはこうだ。我を抜け。そして勇者になれ。」
「だから断るってんだろ。どこが悪くない話だ---」
「勇者になるのは一時的でいい。」
喰い気味にカードを出してくる聖剣に、オーロの目が見開いた。
「一時的?」
「そうだ。都で我を売り捌けばよい。そうすれば、お前に予想だにしない額の金が入る。
我も、都に流出すれば強い者に会える機会が増えるという訳だ。」
滝つぼなんかよりはな。聖剣はそう加えると、再び沈黙に入った。
乗るか
反るか
オーロの返答を待っているのだろう。
「……。」
オーロも沈黙を喫している。
数分が何時間にも感じる沈黙の末、彼は