小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

RPG!!

INDEX|4ページ/12ページ|

次のページ前のページ
 



 剣と岩が無機質漫才を始める。
 オーロは、何はともあれ聖剣に話し相手ができた事に一安心し、村へ帰るのだった。

「いや、帰さないよ!
 もうこうなったら意地だ! 我を抜くまで帰さない!」

 こんな、わがままな聖剣が存在してもいいのだろうか。
 オーロは気の毒になってくる。

「何百年、聖剣が孤独で---」
「いや、あっしもいるぜぃ!」
「黙れ岩。聖剣が孤独で、悩んで寂しかった気持ちはわからん。だが俺だったら耐えられない。」

 真剣な顔で彼は、聖剣のそばに歩み寄り屈む。
 耐えられない。
 何百年も自分の使命を果たそうと、一人ぼっちで動けず同じ風景を眺めるなんて。
 しかも、剣という物質であるために、命を絶えず続く永遠の孤独に耐えられる自信など無い

「だけど、だからこそ、俺みたいに商人目指してる人間より、相応しい人間を待つべきじゃねーのか?
 言っとくが俺は剣の腕はからきしだし、戦いなんざ虫より嫌いだ。無駄だ。興味が無い。」

 世界の存亡を委ねる相手を
 世界の生存を託す戦士を
 世界の平和を守る者を

「そんな適当に選ぶ程、世界は安くねーよ。そう思わないか?」
「……」

 聖剣は沈黙を喫した。
 岩からは何故か嗚咽が聞こえる。

「安心しろよ。若い連中が良いってんなら、俺が村の若い腕自慢にここに来るよう伝えとくからさ。」

 争いは嫌いだ
 戦いは嫌いだ
 暴力は嫌いだ
 怪我は嫌いだ
 何が悪い。そんなステージを回避したところで、人生不幸にはならない。
 オーロの夢は、魔人だろうが、天使だろうが、神だろうが、魔王だろうが、どんな相手でも交渉し商売することだった。
 聖剣は無い目で、青年の瞳の奥に燃える魂を垣間見た気がした。

 いや、気ではない。はっきりと感じた。

 今まで勇猛果敢な勇者達と組んできたが、こんなタイプの人間を見た事がない。
 戦いが嫌いな人間らしい人間。
 人生を損得勘定で考える人間らしい人間。

 世界は安くない?
 お前は世界ですら勘定に入れているのか?


作品名:RPG!! 作家名:桜太郎