RPG!!
うるせえ剣だ。
オーロはその目を白けさせ、薬草摘みを再開する。
その行動に聖剣は目を丸くした。目なんか無いけど。
「摘む!? このタイミングで摘むのか少年! 今、アレだぞ。世界規模のトーク内容だぞ。」
「世界規模だかなんだか知らないけど、世界に進出するにはこういう地道な努力の積み重ねが大事なんだよ。」
「いや、正論だけど。我、今感心したけど。」
聖剣は感心したらしい。
オーロは光栄とも微塵も思わず黙々と薬草を摘み続ける。
水辺が近いため風が涼しく気持ちよかった。
「えーと、摘んでるところ悪いんだが、話を続けてもいい?」
「摘みながらでいいならどうぞ。」
「……世界の危機を、ながら聞きって少年が初だわ。きっと。」
錆びた聖剣がなんだかくたびれて見えてきた。
「ここ数年、魔物が増えてきてるのは知ってるな?」
「ん? ああ、それで商業ギルドも村に来る頻度が減って困ってんだよ。迷惑な話だ。」
「あの……我、何百歳くらい年上なんだけど。」
「で、その魔物がどうしたってんだ?」
「ダメだ。こいつ敬語にする気無いわ。
……実はな、魔王が今、復活しようとしておる。」
魔王。
その名の如く魔界の王であり、魔界を統べる絶対的な力を持つ魔人のことだ。
オーロの住む世界を自然界。空の上にある世界を天界。そして、大地の下深くに広がる世界を魔界と呼ぶ。