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僕のチーズバーガー

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 目が覚めると既に日は傾いていた。よほど疲れていたらしい。恐る恐る左肩を見てみると、そこには相変わらずの黒い塊がいた。
「はぁ……」
 溜息をひとつ吐くと諦め混じりに着替える事にする。
 こいつを連れて外へ出るのは躊躇われるが、外ならば誰かが助けてくれるかもしれない。助けるとまではいかないまでも、他の人間に乗り移ってくれるかもしれない。楽観的すぎるかもしれないが、腹が減りすぎて上手く頭が回らない。だめだ、このままでは振れるものも振れないし、出せるものも出せない。これでは男がすたる。確か近所のファストフード店で100円で食べられるメニューが出ていたはずだ。あれで小腹を満たしておこう。ユミコちゃんの前でガッツクわけにはいかないし、ここまでの空きっ腹でアルコールを入れたら、あっという間に悪酔いしそうだ。
 身支度を整え終わり玄関で靴を履いていると、黒丸(と呼ぶことにする)がカチカチと歯を鳴らしながら喜び? だした。
「ソトニオデカケ? イイジャナ~イ! ア、アタイノコトナラキニスンジャナイヨ! ホカノニンゲンニハミエナイカラサ!」
「……え?」
 思わず問い返す。
「ダカラホカノニンゲンニハミエナイッテ! ミエタラヤバイダロー?」
 そう言うと何がおかしいのか満足気にクカカカカ! と大きく笑う。
 他人には見えない……? つまり他人には助けてもらえない? いや、しかし……逆に考えれば俺さえ気にしなければ普通に過ごせるという事か。とにかく今日の俺には時間がない。ユミコちゃんに変に思われるよりは、見えない方がはるかにマシか……。
 気を取り直すと玄関の扉を思い切り開いた。外の風が気持ちいい。気にしない事だ。うん。とにかく気にしなければいい。

作品名:僕のチーズバーガー 作家名:有馬音文