僕のチーズバーガー
慌てて浴槽から飛び出し、転がるように部屋に戻ったが、黒い塊はふわふわと宙に浮きながら、俺の後を追ってくる。
「な、ななななな」
ガクガクと体を震わせながら、フローリングに這いつくばっていると、塊は俺の左肩に乗ってきた。
「キーメタ! アタイ、アンタヲコロスンジャナクテ、アンタトイキテアゲル!」
冗談じゃない。何を言っているんだ。こんな化け物が俺の左肩に……?
「クカ! クカ! クカカカカ!」
耳障りな声で笑う黒い塊に対し、恐怖よりも怒りが込み上げてきた。
「離れろ!」
なかば叫びながら左肩に手を伸ばし、黒い塊を掴み上げる。ぬるりとしたような、それでいて粘着質で生暖かい、奇妙な感覚に一瞬たじろいだが、気持ち悪さを断ち切るように首を振ると、力強く掴み直し、一気に上方へと持ち上げる。
「クカカカカ!」
塊は歯を打ち鳴らしながら笑っている。俺が両手で必死に持ち上げようとしても、びくともしない。なんなんだ!?
「ムダダヨ。ム・ダ!」
そう言うと塊はまたクカカ! と笑った。