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フイルムのない映画達 ♯01

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山田が転移されているであろう右の装置……俺は喉の入り口で飲み込めぬほど固く固まった固唾を無理やり飲み下しつつ装置を睨みつける……

「ただいまー」

 山田が出てきた!3分前と寸分たがわぬ山田だった!

「山田ー!」

 俺はとにかく感動してしまい決定的瞬間を写真に収めることさえ忘れて山田に抱きついた。

「おめでとう山田!凄い凄い凄い!これはまさに歴史的事件だよ!」

 そう言って俺は固く固く山田と握手を交わした。山田は俳優の様に笑った。

「ありがとう」

 俺は目の前の変人もとい偉人に対してインタビューをし、様々な質問疑問をぶつけた。山田は5分ほどは応じてくれたのだが「さすがにちょっと疲れたよ、ここのところあまり寝てなくてね」というものだから俺はともかくも大学時代の知人もとい大親友に何かあっては大変だと慮って「ゆっくり眠りなよ。また明日か来るから」と言ってその日は帰った。

 マンションの駐車場に車を止め、降りようとしてハンドルから手を離した時に。

 ねちゃり

 ハンドルと手の間に粘液のような透明な糸が弓なりに垂れ下がっている。

「なんだこれ?」

 においを嗅いでみた……青臭い臭いだった……