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八神 航平
八神 航平
novelistID. 46283
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Repeated the wolrd

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 なんだか懐かしくて話が盛り上がった。
 「そのとき、男の子はクマのぬいぐるみをプレゼントした」
 「その時のクマのぬいぐるみがこれなんですよ」
 と、さくらの胸のあたりでぎゅっと抱きかかえられているぬいぐるみを指差した。
 「ずっと持ってているんだね」
 「はい、男の子からの初めての贈り物だったんですよ。おかげで、クマのぬいぐるみ好きになったんですよ」
 「昔、母さんにぬいぐるみの作り方を教えてもらって一度だけ誰かに作ってあげたんだよな」
 二人の間に不穏の空気が流れた。
 「まさかあの時一緒に遊んでくれた男の子って、前川くん!?」
 「こっちだって、あの時の女の子って、さくら!?」
 また、二人の声が重なる。
 こんな偶然も世の中あるんだなぁとしみじみ思っていた。
「それで少しの間だけ遊んでくれたり、話を聞いてくれたりしたよね。そのとき、絵を褒めてもらったんだ」
 「あのとき、初めてあった瞬間から気になってたからね」
  さくらの頬が赤く染まった。
 「嬉しいな、あの歳で異性に好かれていたなんて」
 「まだそんな気持ちを知らなかった時だぞ」
 「遊んでいた時に前川くんのそばにいた女の子って……」
 「ああ、妹の麻衣だよ。あいつはあの頃人見知りが激しくてずっと俺のそばから離れなかったんだぞ」
 「そうなんだ」
 なんだかさくらが安心したように言った。
 「でも、その後の記憶がないんだよな」
 「そんなことないよ、君は何度も来てくれたんだよ」
 「もしかしたら、初めて遊びに行った時の印象深かったのかな」
 と、笑って返した。さくらはむぅと頬膨らませて「なんで覚えていないの」と言わんばかりの顔でこちらを見てきた。
 「そうだよね、あの後私は入院して病室から空を眺めるだけだったからね」
 「入院してたんだな」
 「先月やっと退院から、久しぶりの学校で友達ができるか、不安でいた時に、廊下で友達と笑っている君を見つけたんだ」
 「変なところ見られちゃったな」
 「うんうん、変じゃないよ。昔と変わっていないから、すぐに君だってわかった」
 「なんだか嬉しいようで、笑われているような」
 「笑ったりしないよ」
 「いや、内心は笑っているだろ」
 久しぶりさくらの笑顔を見た気がした・
 「私こそ、君に会えてうれしかったんだよ」
 「俺は、こんなに可愛い子に会っていたのを忘れていたなんて」
 「大丈夫だよ。これからいっぱい楽しいことをみんなでしようよ」
 「そうだな。まずは、クラス対抗戦だ」
 俺はさくらの前で決意を固めた。
 時間はもう午後七時を過ぎていた。
 外はもう暗くなっていた。楽しかった時間はあっという間だった。
 「俺もう帰るね」
 「うん、また明日ね」      
 と、あいさつをして隣同士なので、入り口まで見送ってくれた。
 うちの家に入ると、妹の麻衣が立っていた。「遅いよ、どこ行ってたの」と聞くので、「隣の卯月さんの家だよ」と俺は返した。「何してたの」と麻衣は言及してきたので、「同級生のさくらさんと話をしていた」と言ったら、「そんな子いたかな?」と疑問を残しながらリビングの方へ歩いて行った。
 俺はそのまま自分の部屋に入ると、バックを行方の上に置いて、ベットにそのまま身を委ねた。
 その時、前に感じた風景が頭に入ってきた。前回よりも鮮明だった。ビルが倒れ、街が燃えているように見えた。
 「なんだよ、今の風景。街が燃えてる?」
 火事なんて今年に入ってから一度も聞いていない。
 考えていると不意に世界と意識が切り離された。



                         April 11th To be continued




1
 ピピピピ・・・
「朝か」
 俺は、目覚ましに起こされた。
 昨日意識を失ったことは覚えているのだが、それ以前の記憶がない。
 着替えてリビングに行くことにした。
 「ちゃんと起きれたんだね」
 さくらが、にやにやしながら言ってきた。
 「俺だって一人で起きれるさ」
 「毎日起こしに行ってあげているのに」
 そうだった。でも、こいつの起こし方を一言でいえば、凶暴と言い表すことができる。
 「あんたにも、彼女みたいな子ができたんだね」
 「違うよ。干渉するのやめてくれないかな。母さん」
 「いいじゃない、今夜は赤飯ね」 
 思わず飲んでいた牛乳を吹いてしまった。
 「急におかしなことを言わないでくれよ」
 「違うの?」
 「麻衣までおかしなことを言うな」
 そんな時、インターフォンが鳴る音がした。
 「今行きまーす」 
 麻衣はその場を抜け出すかのように玄関に向かった。「ちょっと待って」と言っても聞いていない。
 「うわぁ」
 麻衣のすっとんきょんな声がした。
「どうした」
 俺も玄関に向かった。
 「お兄ちゃん、何よこの山は」
 麻衣が対象の一部分を指差していた。俺もそこに目が行った。「私より少し小さいのになんでここだけ大きいのよ」と麻衣がひどく落ち込んでいるのを尻目に、「あまりじろじろ見ないでください」と聞き慣れた声がした。顔を胸元から目線をあげてみると…さくら!?「うわっ!」なぜか、引いてしまった。
 「さくら、朝からどうしたんだ?」
 「一緒に登校しようと思って迎えにきたんです」 
 「え、おにいちゃん知り合いなの」
 割り込むように麻衣が言ってきた。俺は「そうだった」と思って、麻衣に「お隣の卯月 さくらさんだよ。うちのクラスの委員長」とカ軽く説明をした。
 「かわいい」
 俺の話を聞いていないご様子でさくらに飛びついた麻衣。
 「うわわ、前川くんどうしましょう」
 「こら、麻衣。急に飛びつくな」
 麻衣の襟を掴んでさくらから引き離した。「だめ?」と麻衣が上目づかいで懇願したが、俺は「知るか」の一言で静止した。
 「あの〜」
 申し訳なさそうに、さくらが提案するかのように小声で言ってきた。
 「なんだ」
 「八時過ぎてしまっているので、遅刻になりませんか」
 「えっ?」
 俺と麻衣は時計を見ると八時五分と、もうすぐ六分になろうと秒針が刻んでいた。
 「やばい」
じゃれ合っているうちにこんなに時間が経っていた。
 俺はさくらの手を掴んで「いってきます」と言って家から出て行った。その後ろを、麻衣が追ってきた。一階まで降りると俺は出口とは別の方向を目指した。途中、さくらが「どこ行くの?」と聞くので「駐輪場」と一言だけ言って自分の自転車を探していた。麻衣のその後ろをついてくる。自分の自転車を見つけると「乗れ」とさくらに言った。
 理解できないのか、疑問符を頭の上に浮かべているように見える。「後ろに乗れ」というと、黙って後ろに乗ってくれた。麻衣も自転車を見つけたのか「お先に〜」と間延びした声で越されてしまった。こっちも出なくてはならないからな。「しっかり掴まってろよ」と言うと、麻衣がぎゅっと腰のあたりに手を添えて、背中にやわらかい感触が伝わってきた。手から変な汗が出てきたと思ったが急がなくてはならないから、無心で走るしかなかった。
作品名:Repeated the wolrd 作家名:八神 航平