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八神 航平
八神 航平
novelistID. 46283
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Repeated the wolrd

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                                April 4th To be continued




 さくらと出会って気になっていたことがあった。彼女は毎日せっせと働きながらもクラスのみんなに的確な指示を出していた。
 俺は昼休みの間、あの桜の木の下で彼女と話すことが習慣になったことに気づきもせずに日々を送っていた。
 だが、気づいてることもある。
 俺はさくらのことをずっと見てる。
 今まで気にしていなかったはずなのに最近意識していた。
 「前川、前川聞こえんのか!」
 担任の怒号で我に返ったと同時に後ろに倒れてしまった。
 「今日は、日直だってことを忘れていたのか?」
 はっ?日直ってまだ先のはずなのに―
 ウソと思いたいが、黒板の隅には前川、卯月と記されている。
 うちのクラスは男子が比較的に多いので来ないと思っていたのに、こんなにも早く回ってきてしまった。
 「良かったじゃんか、大空」
 「うるさいな、リンドウ」
 隣の席のリンドウがちょっかいをいれてきた。
 「最近のお前は卯月のことを見てるだろ」
 なんで気づいてんだ?
 「別に、そんなんじゃない」
 「照れるなって、卯月さんは学校中でかわいいと評判なんだぜ」
 「知らなかった、その情報をどこで手にいれたんだ?」
 「女子の情報をかき集めるのが、俺の生きがいなんでね」
 またか!こいつは自分独自のルートで女子のいろんな情報を的確に集めていく、それが仇となってモテるはずなのにモテない。
 残念な友人だ。
 「だから、卯月さんと一緒になったお前は今や男子から睨まれていることになったってわけよ」
 えっ…何言ってんだよ、こいつ………
 「前川め、冴えないはずのあいつと卯月さんが一緒だと許せんな」
 「奴には、処罰を与えなければならない」
 「俺はあいつを道連れにしてやる」
 それぞれ思い思いのことを口にして、こちらに視線をぶつけてくる。
 視線は人にグサッと刺さるものなんだなと感じた。
 さくらがこちらを見ていたので、気になってみてしまった。
 ―がんばって
 と、かわいらしい仕草をしてくれたのだが、それは火に油だった。
 周りの男子の不満は募るばかりで止まることを知らなかった。
 「お前たち、少しは静かにできないのか。授業に集中できない」
 突然声を出したのは、〈クラストップ〉の柊 桔梗だ。
 クラスの中では、トップクラスの学力を誇るので敬意と皮肉を込めて〈クラストップ〉と呼んでいる。
 「やはりお前が原因か、前川」
 「騒ぎ出したのは、俺のせいじゃないんだけどね」
 「だが、お前はその中心にいて騒ぐ火薬みたいじゃないか」
 「いつも偉そうなこと言って、クラストップのままじゃないか」
 こいつとは中学の時もよく喧嘩していたため、それなりの境界線は理解していた。
 その間に、リンドウが入ってきた。
 「ま、お二人さん喧嘩はなしなし」
 笑いながら入ってきたリンドウに場の緊張感もほぐされ、それぞれの席に着いた。
 「大空も喧嘩するなよ、高校になって一度も喧嘩しないって約束したよな」
 そうだった、変わろうと思って約束していたことを忘れていた。
 「授業を再開するぞー」
 先生の気の抜けた声で再開された授業は、ほんの5分しか行われなかった。

 ―昼休み―

 いつものように桜の木の下へ直行しようと思っていたが、日直としての仕事のために職員室を訪れていた。
 「前川」
 背後から声を掛けてきたのは担任の石動 大地先生だった。ボディービルダーかよってツッコミたくなる体型のくせに、化学を受け持っている。
 教科でもお世話になっているので、緊張することもないはずだが、背後から声を掛けられてしまったので、受け身をとってしまった。
 「なんだ…先生か…びっくりして損したよ」
 「なんだとはなんだ」
 「いや、別に深い意味はありませんよ」
 「お前最近あの桜によくかよってるそうじゃないか」
 「急にどうしたんですか?」
 なんで、先生知ってるんだ??
 「ただな、あれを気に入ってるのかと思って」
 「確かにそうですね、見晴らしもいいですし」
 「なら、昼寝はほどほどにな」
 えっ……
 「次の授業は俺の担当だからな。あと、これを渡しておこう、実行委員のお前に先に見せておかなければならないからな」
 一枚のチラシを受け取って、驚く言葉が載っていた。
 ― 学年クラス対抗戦 ―
 下には、内容が書かれており、日時の詳細が載っていた。
 この如月学園は創立当初から掲げられていることばがあった。
 〈個々の自由・成長の発達のために周りと尊重し合い、能力を極めるべくための鍛錬を怠らない〉
 創立者・桜島 茂信の言葉だった。
 その言葉の実現と言わんばかりに行われ始めたのが〈クラス対抗戦〉だった。
 クラス対抗戦は、運動・学力・芸術の三つの中で総合的に高かったクラスがその学期中は学年の権利を取り締まることができる。
 一年に四度も行われる。
 また全学年の対抗戦もある。こっちは大規模であるために二度しか行われない。しかも、一年の参加はこっちしか認められていない。
 先輩の中で、一年の時に名乗りを上げた人がいて、その人は三つとも一人でこなしていたそうだ。
 そのため、その人に権利をすべて持って行かれたとの伝説があるくらいだからな。
 何でも、人を見ただけで次の動作などを感じ取る力があったようだ。
 「おーい、聞いてるか?」
 「はい、聞いていますよ」
 「ところで、また派手にもりあがってもいいんですね」
 「もちろんだ。だから、お前にいち早く渡したんだろ。起用はお前に任せるからな」
 「それと、物品を壊した場合は早めに言えよ」
 「わかってますよ」
 「それなら構わないが、長く引き留めて悪かったな。準備を怠るなよ」
 「はい」
 そして、俺は急いで職員室から出ると近道として校舎の窓に秘密裏に繋いだひもから地上へと降り立った。
 丘の上で、さくらが待っていた。
 頬を膨らまして、早く早くと仕草をしているのを見る限り、ずっと待っていてくれたようだ。
 俺が「ごめん」というと、さくらが「遅いよ」と怒ってきた。だが、体型のせいなのか怒っていても可愛らしさがあった。
 さくらの隣に座り、いつもの昼食の時間が始まった
 ポケットからはみ出ている一枚の紙が気になるのか、じっと見ている桜に気づいて紙を見せることにした。
 「先生からクラス対抗戦のことを頼まれたの?」
 真剣な表情で聞いてきたので、顔の近さに気づいていないのか?
 「ああ。勝つために役割分担しないとな」
 「そうだね、人それぞれで運動・学力・芸術の伸ばし方や資質も違うもんね」
 そのための俺の能力がある。
 「先生はそれを分かって俺に頼んだんだろうな」
 何かを思い出したかのように、さくらが質問を投げかけてきた。
 「そういえば、前川くんってよく人を見てるよね。なんでなの」
 「それは俺が人を見れば、大体はどういった素質を持ってるか分かるんだよ」
 ぽかーんと口を開けたままで信じがたい表情をされた。
 「なんていうか、視覚から判断する力みたいな感じだよ」
作品名:Repeated the wolrd 作家名:八神 航平