小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

Magic a Load 2

INDEX|2ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

Magic a Load 2



一人の怪しげな男がシンの顔を間近で見つめている。シンもその怪しげな男を見つめ返す。
怪しげな男は真っ黒いマントの内側から小さな杖でシンの顔の顎をそっと上げさす。
シンは眉間にシワを寄せさらに男を見つめた。
怪しげな男は"ふむ"と溜息混ざりでようやく口を開いた。
「君の名前は・・・。」
「シン・ネルソンです。」
怪しげな男は肩を竦めまた質問する。
「君の家族は?君は中国系のアメリカ人かね?」
「はい。そうです。家族は・・母が一人、姉が一人です。父は母から逃げました。」
その言葉を聞いて不安げな顔をしたのはバーバラだった。バーバラは荒れた声を出す。
「あの、その事については聞かないとダメなのですか?いくら私達が成人とはいえ彼も悲しい思いはもう十分だと思うの。」
怪しげな男はにっこりと微笑み優しい口調でバーバラに言った。
「大丈夫だ。深い所まで追求するつもりはない。それでなくても私は半分は君らの事を理解できるのだから。」
ディビットは煙草に火を付け一服口に含むと嫌味くさく聞いた。
「だったら、全員の人脈のようなモンを調べる必要はねぇんじゃね?」
「生意気な口をクロウリー様に聞くなよな。ディビット・マーク・・。」
少々弱気な声で言ったのはフランシスだった。ディビットは床に唾を吐きズガズガと歩きフランシスの前に佇みフランシスの襟元を掴みさらに顔を近づけた。
「あのな、さっきから気になってたんだけどお前、いつからそんな態度でかくなったんだよ?それに俺らがお前の下とかマジありえないから。お前シン達が通っているスクールでは虐められているんだってな?そんな奴が何で・・・何だよ!」
「止めるんだ、ディビットくん・・・。今は喧嘩は無しだ・・な?さっきも言っただろう?」
ディビットはニックに掴まれた手を振りはらいシンの傍へと寄った。
どうやらディビットの苛々度はマックスのようだ。バーバラはそんなディビットを見て少し違和感があった。
ディビットはいつもは口はそれほど煩く無いしシンともよっぽどな事が無いと喧嘩もしないはずなのに・・と。
この空気を和らいだのはナンシーだった。ナンシーはシンとディビットの服を引っ張り二人の手に色付きのクッキーを手にそっと渡す。形は花で上の方にだけ色が付いている。
シンは首を傾げディビットと顔を見合わせすぐ視線をナンシーに戻す。
ディビットはからかうように聞いた。
「何?今の気持ちをこのクッキーに打ち砕けと?」
ナンシーはディビットの冷たい目線に体を跳ねつかせるとシンが横から割り込もうとしたがナンシーの兄ニックの方が先だった。
ニックはにっこりと微笑みディビットに向かって言った。
その口調はバーバラにだけは怒っている感情だと感じとれただろう。
「そのクッキーを黙って食べなさい。それには少し薬が混ざっていてね、気分がとても落ち着くよ。さぁ、ほら。」
ディビットはははっとから笑いをニックにぶつけシンに視線を向ける。
シンは肩を竦め眉を釣り上げる。
「仕方ないよ。今の俺らにはちょうど良い薬かもしれないし。それに気がつけば腹が減ってる。」
「マジかよ。別の物だったらどうする訳?」
ディビットは赤い色の花形クッキーを黙って口に放り投げた。ニックの視線が痛かったからだった。シンはピンク色の花型クッキーを味わうように食べると声を上げる。
「ナンシー 美味いよ。これならバーバラの作るクッキーより美味いかもな。」
バーバラはふんっと鼻を鳴らすとナンシーの傍に寄ってきて手を差し伸べた。
ナンシーは首を傾げる。
バーバラは仕方ないわねぇという感じの表情をしナンシーに言った。
「あたしもお腹空いたの。まだクッキーあるかしら?と言うよりシンせっかくあなたにフォローしてあげたのにそんな風に言う?」
「まぁ、食ったら分かるって。」
ナンシーは嬉しげに綺麗な包を手の平に広げバーバラの前に差し出した。
色はシンと同じ色のピンク色で形はハート型だった。
バーバラは味わってクッキーを食べ飲み込む。
「あら・・本当に美味しいわね。私のより美味しいかもしれないわ。」
ナンシーは嬉しげな顔をすると他の人達にもクッキーを配り始めたのだ。みんなは岩の上や地べたに座りこみクッキーを食べ上げた。
怪しげな男 クロウリー師もクッキーを手に取った。クロウリー師はふむ、と声を出しクッキーの匂いを嗅ぎナンシーに笑顔で聞く。
「実にこれは・・サルサパリラだね。実に良い香りだ。」
「は?何?サル?サルならここに・・」
「おい!!」
ディビットはシンを指さすとシンは思わず突っ込みに入る。バーバラは呆れた口調で呟いた。
「まるで漫才ね・・。」
それに頷いたのはリチャードとニックだった。
クロウリー師は二人のやり取りを見て思わず高笑いする。ディビットは気に食わない顔つきでクロウリー師に向かって言った。
「何なんだよ。その・・・・。」
「サルサパリラ。ユリ科の植物で古くはピタゴラスやプラトンの書物にも登場するマシュマロウは和名でタチアオイその根のシロップは咳をしずめ、整腸や不眠の解消に効果がある。」
ニックの言葉にクロウリー師は少し驚いた表情をしたがすぐに真顔になり頷きその場で立ちがり自分の腰を軽く叩き返事をした。
「その通り。良く知っているね。そう、人間にはとても良い効果な物なのだよ。」
「ふーん」
とディビットは気に食わない口調でナンシーがまだ持っている包の中のクッキーをまた一つ手に取ったがナンシーはすぐにそのクッキーを返して、という目つきでディビットを見る。
がディビットは意地悪そうな顔つきをしクッキーを頭の上に掲げさらに包に指さし言った。
「まだ沢山あるじゃん?もう一つくらいくれたって良いんじゃね?それとも何?ここの立場が俺じゃなくシンにならあっさり渡しちゃうのかな?」
バーバラはその光景を見て呆れすぎて声も出てなかった。ナンシーは頬をピンクに染めたまままだクッキーを取り返そうと両手を伸ばし必死だ。
シンは頭を振りディビットが片手に掲げているクッキーをすんなり奪い返しナンシーの手にそっと渡す。
シンも呆れた溜息を一つつき肩を竦めナンシーの頭を撫で言った。
「ごめんね、ナンシーこいついつもならこんな意地悪言わないんだけどむしろ意地悪もしないんだけど?此処に来てから頭のネジがどっかいっちゃったみたいなんだ。
・・ディビット・・お前さぁ。もう少し優しくなれない?どんだけツンツンしちゃってるんですか?」
ディビットはシンに言葉を返えさずシンがディビットの肩に置いた手をはらい煙草を手に取ったがその煙草はリチャードに奪われる。
リチャードは少し不安げな顔でディビットを見るとディビットは容赦なくリチャードを睨みつける。ディビットはリチャードが裏切ったのだと思い込んでいるのでディビットはリチャードへの警戒心は強くなっていた。
しかしリチャードも負けてはなかった。リチャードはぼそっと今にも消えそうな声で呟いた。
「・・・煙草・・ダメだよ。・・だってさ、今・・クッキー食べたばっかりだろ?」
ディビットも言葉を言い返そうとしたがリチャードの横から現れたシンに負けた。
「その通り~、せーっかくナンシーがくれた奴で効果台無しにしちゃうつもりかな?
作品名:Magic a Load 2 作家名:悠華