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ここでは暗闇の洞窟はとても賑やかだった。小さいゴブリンから変わった形のゴブリン達から縦長い豪華な椅子にアンディとジェイコブは座らされ長いテーブルにはご馳走がずらりと並んでいる。
アンディは思わず言葉を漏らす。
「美味そう・・。じゃない？」
ジェイコブはアンディの言葉にツンとした表情をし無駄にキラキラと輝きを見せるフォークで目の前に出されたレアステーキを突っついている。
ジェイコブはちらっと横目でアンディを見て言った。
「お前さ。」
「何さ？」
「・・・・・・これ・・食うつもりじゃ・・・・って・・・・・・。」
ジェイコブの言葉にアンディは裏切らなかった。レアステーキはアンディの口に運ばれていた。ジェイコブはそんなアンディの頬を摘み言った。
「ばーか。お前ってマジばか。普通に食っちゃうのかよ。俺にさっき言った言葉をそのまま返してやるよ。ココは素直に疑えっての。何の肉なのかも解らないんだぜ？」
「ええ。でもすっげぇ腹減ってたし。大丈夫だって！犬の肉とかでは無さそうだから。
味付けも以外としっかりしてるんだぜ？肉食なお前なのに珍しいのな。
ほら、口開けろよ。お前の腹は正直音を立たせてるよ。」
ジェイコブの腹は正直に音を立てていた。ジェイコブは眉間にシワを寄せながらアンディが差し出した何の肉なのか解らないレアステーキを一口口に運ぶ。
ジェイコブはあまり味あわずにほぼ飲み込んでしまった。すると先ほど案内していたゴブリンがジェイコブの袖をぐいぐいと引っ張る。
ジェイコブは口をもごもごさせながら返事をし振り返る。
「何？」
「・・・ゴブリン様は味わって食べて欲しいのです。その視線をあなた様は感じませんか？」
テーブルのセンターに両手を握り巨大なゴブリンはアンディとジェイコブを見据えている。
ジェイコブは不満げな声を出しぼそっと言った。
「・・・・・マジか・・・。」
ジェイコブは仕方なくレアステーキを味わい食べ始たのだった。
アンディは手下のゴブリンを横目で見ると彼は既に巨大のゴブリンの元でまた耳うちをしている。アンディは口を挟もうとしたがその口にジェイコブが食べていたレアステーキを無理やり口の中に放り投げられたのに気がつく。
アンディは眉間にシワを寄せ困った表情でジェイコブを見た。ジェイコブは椅子に背を寄せいつの間にか腹はパンパンになっていてその腹をジェイコブはさすり言った。
「旨かったぜ。レアステーキ。危ない所でお前の分も食っちゃう所だった。」
最初に酷く疑ったくせに・・とアンディは心の中でそっと呟きつつ残り少ないレアステーキをフォークに指し口に入れ食べアンディはもごもごと口の中を動かしこもらせた声でジェイコブに聞いた。
「ねぇ、僕達ってさ帰れると思うか？」
ジェイコブはその言葉を聞くと一つ欠伸を掻き面倒くさそうな口調で言い返す。
「・・・さっきも言っただろ・・・俺はここから帰れる気がしねぇって。それからさっきから・・・ふあぁ・・・体の調子もおかしいし・・。」
「いつから？」
「・・・・ああ？・・・・ここに来た時か・・あの変な洞窟の穴に滑ってた時・・・」
「・・・ジェイコブ・・もしかしたら・・僕ら・・・。」
「・・・・・。」
アンディがジェイコブの方を見るとジェイコブはテーブルの上に顔を付け気持ちよさそうにすやすやと寝息まで立て始めていた。アンディは慌ててジェイコブの体を揺さぶるがジェイコブは既に深い眠りの中へと陥ったようで反応が返ってこなかった。
アンディは自分より少し大きいジェイコブの体を持ち上げると・・アンディの体にも違和感があった。ジェイコブはがたいが良いはずで体重も自分より多いはずなのに。
アンディは一人思わず呟いた。
「軽い・・・。何で・・・・・？」
しかし体が軽くても体の形までは軽くはなかった。アンディは結局、ジェイコブを背負いその場から逃げようとしたがそれもできなかった。
アンディは思った。
こんだけ違和感だらけなのに 何故・・今 此処に魔法が無いのかと。
ファンタジーの世界なら魔法が使えて当然なのでは？とアンディは思い込みそっと手を伸ばしこう唱える。
「いでよ杖！」
・・・・・。
その反応はとても虚しすぎた。その声に気づいたのは魔法ではなく巨大なゴブリンだった。
巨大なゴブリンは低い声で言った。その声は少し怒っているようにもアンディには聞こえた。
「貴様・・どこへ行く・・・。」
アンディは手に汗をびっしょり掻くのを感じた。