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Minimum Bout Act.03

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「植物の所為でしょうね。何とも言えない甘くて鼻を通り抜けて行く、清々しい香りがするもの」
 深呼吸をしながら胸にこれでもかと空気を吸い込む。
「本当に地球に来たんだな。ベニーランドに戻ったらブルースのヤツに自慢してやろうぜ」
「カッツ、あんまり子どもみたいな事するなよ。また皮肉言われるぞ」
「ちぇ……。で? ブラジルはいいが、ここはブラジルのどの辺りなんだ? ま、聞いても分かんねえけど」
 シンにたしなめられ、カッツが近くに生えていた木から赤い実をもいでセイラに尋ねる。
「ベレンね。ブラジル北部の都市だった所よ。街を出たらすぐアマゾンのジャングルなの」
「おお、やっぱブラジルっつったらジャングルだよなー。もう十分ジャングルだけどよ。おっ! この実うまいぞ!」
「ちょっと、何でもかんでも適当に食べないでよね。もし毒がある植物だったらどうするの?」
「大丈夫だって、だってすっげーいい匂いがしてるんだぜ? それに今まで食った事ない味で、甘くてうまいし」
「んもう! カッツったら昔っから何でも拾って食べてたわよね」
 どうやらカッツがもいだのはマンゴーの実らしく、そこらじゅうに生えている。シンも近くの実をちぎると、皮を剥いて一口かじった。
 ……うまい。
「俺達は死ぬ程貧しい生活してたから、食えそうなものは取りあえず何でも食ってただけだ。お前んとこはそこそこ金持ってたから俺様の気持ちはわからねーんだよ」
 そう適当にセイラをあしらい、カッツ達は先へと進む。
「しかし何故調査対象地域をブラジルにしたんだ?」
「決めるのは私じゃなくて政府のお偉いさん達なんだもん、詳しくは知らないわ。でも取りあえずブラジルを皮切りに、北アメリカ大陸やアジア、ヨーロッパ、アフリカと色んな所を調査する予定なの……あ、あれ見て」
 シンの疑問に答えながら、セイラは先の方に見えるビルを指差した。
「あそこなら視界もいいし、雨風もしのげそうだし、基地に出来るんじゃない?」
「まあ、ビルの中と周辺の様子を見てから決めるか。水場がないと無理だし、もし本当に敵がいるなら地理を把握してないと、下手したらビルごと消される」
 すっかりマンゴーを食べ終えたカッツが呟くと、インカムから無線通信音が聞こえてきた。
 ほんの少し口をへの字に曲げると、カッツはスイッチをオンにする。
「あんだ?」
『ええっと、今、地球?』
作品名:Minimum Bout Act.03 作家名:迫タイラ