Minimum Bout Act.03
「宇宙船を降りたのは別の国だったけど、空港や道路のカメラ画像を入手出来るだけ入手して探したの。それでやっと突き止める事が出来たのよ」
カッツの看病をする傍ら、休む事無くそんな作業を続けていたらしい。
シンはルーズの根気に脱帽した。
「それで、セイラは無事そうだったのか?」
「ええ、怪我なんかはなさそうだった。顔は頭からショールを被せられてたからはっきりとは分からなかったけど、男達に両脇を挟まれて自分で歩いていたから大丈夫だと思う。そのうちトレインから連絡が入ると思うわ」
そう言い終わると同時に、まさにルーズとシンが見ている端末に連絡が入った。
二人は顔を見合わせ、呼び出しに応える。
画面にトレインの顔が映し出された。
『よう、カッツの野郎の様子はどうだ?』
開口一番トレインが尋ねると、ルーズは体をずらして後ろでジュースを不味そうに飲むカッツの姿を見せる。
「ご覧の通り、しぶとく生きてるわ」
『はははっ! 意識が戻ったんだな。そらあ良かった。おい、カッツ! てめえ怪我が治ったらルーズに特別ボーナス払っとけよ!』
「うるせえ」
先ほどよりも喉が潤った分、カッツの声から掠れが取れた。力はないが滑らかにそう言うと、プイと画面と反対側へ顔を向けて目をつぶる。
『まあ、お前は殺しても死なねーからな。っと、忘れる所だった。頼まれてたセイラ=バーミリアンの行方だが、ついさっきドルクバの外れにある汚水処理センターの近くの倉庫で保護されたらしい』
「保護された? 一人?」
『ああ。連れ回してた連中はルーズが送ってくれた画像を使って緊急手配してるが、今の所確保したという連絡は入ってない』
取りあえずシンとカッツはほっと胸を撫で下ろした。
無事に警察に保護されたというのならひとまず安心だ。
「トレイン、plainの連中地球で何やらこそこそやっているみたいなんだ。セイラの事もふまえて、エンド政府に掛け合えないか?」
シンが真面目な顔で言うと、トレインはあごに手をやり、うーんと唸る。
『セイラ=バーミリアンはエンド政府に在籍しているから、もちろんお前達からもらった情報と一緒にこれから報告はするつもりだ。だが、すぐに動くかどうかは難しい所だと思うぞ』
作品名:Minimum Bout Act.03 作家名:迫タイラ