Minimum Bout Act.03
「それは分かってるが、地球探索チームが数名殺されているんだぞ? おまけにカッツまで大怪我だ。これで組織とは付かず離れずですからって言われたら、こっちは大損だ」
シンはセイラを助けられなかった事に責任を感じている。
さらに元々短気な性格なおかげで、組織が何を企んでいるのか本気で探る腹のようだ。
『そう言われてもなあ。俺らみたいなただの刑事に、そんな権限はねえし……お前達が独自に動くってんなら、情報があればすぐリークしてやるぞ』
「ちっ、それでも公務員か……ところでルーズ、ベニーランドにはいつ帰れる?」
トレイン達だけでなく、エンド政府としても恐らくplainの動きをしっかりと把握しておきたいというのが本音だろう。
しかし、一介の刑事や人探し屋がどうこう出来る相手ではない。
警察をけしかける事を諦めたシンが、ルーズとその向こうで不貞腐れるカッツを見て尋ねる。
「そうね……あと10日後って所ね」
怪我をしたのがエンドだったなら、もっと設備の整った病院で治療も受けられただろうカッツの容態は、限られた医療道具だけですぐに回復するというのは難しい。
それでもカッツの回復力は常人離れをしているため、全身を銃で穴だらけにされても2週間ほどでかなり回復すると予測が立てられた。
『取りあえず、こっちで出来る限りの事はやって情報も仕入れとく。お前達もそこから出来る事をやってくれ。で、何か分かったら教えてくれ。じゃあな』
ブツリと通信の切れた画面を閉じ、ルーズとシンはどちらからともなくため息を吐いた。
組織がいつ頃存在し始めたのか、正確な事は分からない。
だが、地球から宇宙へと人類が逃げてきた200年前には既に政府の裏側を担う仕事の為に組織されていたようだ。
完全に政府の手を離れてしまったのか、それとも政府との関連が今だ強い為か、組織が関係していると思われる事件は往々にして霧と消える。
調べようにもルーズでも探し当てられないデータがあって、組織に関しては分からない事だらけなのだ。
エンドに戻るまであと10日。
Act.3 end Act.4 へ続く…
作品名:Minimum Bout Act.03 作家名:迫タイラ