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Minimum Bout Act.03

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 「失敗は許されない。連絡が取れ次第、今夜決行するぞ」
 薄暗い木々のトンネルの奥、息を潜めながら顔を突き合わせて会話をする男達。
 それぞれが手には拳銃や自動小銃を持ち、迷彩服のような格好をしている。一人は中年の男で、残りの三人はまだ若い男だ。
「女は殺すな、男は殺せ……間違うなよ。女は殺すな」
 再び先ほど口を開いた男が念を押すと、頭上で鳥達が一斉に飛び立った。 




 セイラがどうしてもと言い張って基地となったビルは造りがしっかりしているらしく、少し傾いて表面をツタや葉が覆ってはいるが十分にキャンプを張れる状態だった。
 カッツとシンはビルを基点に半径1キロの範囲をくまなく捜索した。取りあえず近くに敵が潜んでいる可能性はなかったが、セイラが言う調査団との最終連絡地点まではまだそこからさらに50キロほどアマゾン側に進まなくてはならない。
 人の手の入らなくなった地球はどこもかしこもジャングルで、日が暮れるまでに50キロ先へ、しかも徒歩で辿り着くのは難しいと判断したため今日はこのビルで休憩をとり、明日から少しずつ進むことになった。
「じゃあ、お風呂に入れるのね?」
 日が暮れる少し前、薪を集めてきたカッツにセイラは心底嬉しそうに尋ねた。
「ああ、その辺に転がってたドラム缶で風呂作ってやるから入れ」
 ビルのすぐ裏手にはアマゾン川があり、薪を集める途中で見つけた比較的綺麗で頑丈なドラム缶を風呂代わりにすることにしたのだ。
 もちろんカッツとシンは川で十分だと思っていたのだが、やはり女性であるセイラにしてみれば風呂に入って汚れを落としたいらしい。都市機能はもちろん使えないため、ビルや家屋にある風呂では無理なのだ。
「ありがとう、カッツ。あなたって本当に優しいのね……やっぱり愛?」
「お前が風呂風呂うるさいから仕方なく作ってやるんだ! 俺の事を好きだとかぬかしやがるなら、ちっとは俺の事も考えろ!」
 もっともな意見を言っているのだが、怒鳴っていては相手に通じるどころかかえって火に油を注ぐ。
「カッツのことばっかり考えてるわよっ! この会えなかった3年間、どんなに寂しかったか! それに、あたしが何度も連絡したのに出てくれなかったじゃない!」
作品名:Minimum Bout Act.03 作家名:迫タイラ