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サホとアキラとチェゲバラ

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 「痙攣するんだもん、ビックリしたよ。」
 「・・痙攣する子って初めて?」
 「勿論だよ、サホってアレが好きなんだ。」
 「・・アレが好きな子って好き?」
 「男はHの好きな子は大好きさ、当たり前じゃん。」
 「男一般じゃなくて、アキラはサホのことをどう思ってるの?」
 「サホのHはサイコ-!でもサホのことはよく知らない、分かるのはこれからだろ?」
 サホは彼の首に手を回してキッスしたわ。 
 「アキラのこと大好き、だからいっぱい知りたい!」
 抱き合ったとき彼が苦笑しました。だって、アレが大きくなって突っかえたんだもの。
 「オレはつまらんよ。自慢できるものは何もない。・・コイツは自慢できるかな?」
 堅くなったアレを押しつけられるとその気になり、二人は2回目のHをしたんです。
 それからアキラに夢中になりました。
 彼の部屋に日参して掃除したりお料理したり一生懸命お世話したのです。必ずHしたし、彼と一心同体という感じで、今から思うと夢みたいに幸せだった。
 あの頃、サホからピンクのオーラがいっぱい出ていたんだと思ます。だって、街でもお店でも電車の中でも男の人につきまとわれたんだもん。自分では気づかないけど、フェロモンプンプンだったんじゃないかな。



 アキラって草食系でガツガツしなかった。
 肉食系だったのは最初の頃だけで、しばらくすると欲情しても自分から手を下そうとしない。散々焦らせてサホの発情するのを楽しむというか・・
 そんなときは目が蛇みたいに燃えるの。奥の方でチラチラ燃えてジッと見つめる。サホは蛇に睨まれたカエル、見られるだけで感じてくる。有無を言わせぬ低い声で囁くの。
 「サホはキレイだ、エロイ。オレのいうとおり脱ぐんだ。」
 魔法にかけられたみたいにいわれるまま服を脱いでしまう。
 ブラウスっていうとブラウスを、スローといわれるとゆっくり、ストップといわれれば脱ぐのを止めた。脱ぐのに時間がかかったけど、蛇の目で命令されると身体が火照って濡れてくる。生まれたままの姿になって早く抱いて欲しい。
 視姦ていうのかな、目と言葉でタップリいたぶると、裸のサホを膝にのせてゆっくり愛撫するの。耳たぶや首筋、脇の下やオッパイを蛇みたいにチロチロ舐める。アソコが疼いて、イイイイ、サホは喜悦しながら逝きそうになる。
 すると、彼が仰向けになって命令するの。上に乗れ!
 サホが馬乗りになると堅くなったアレが身体に入っていく。ウウ~凄い圧迫感で思わず声が出ちゃう。下になった彼がおだてるの。
 「サホは可愛い!お前の逝くところを見たい!腰を振れ!」
 蛇の目が妖しく燃えて腰遣いを命ずる。
 「振れ!擦れ!」、「ユックリ!激しく!」
 服を脱がすのと同じ。自分は何もしないでサホを煽って楽しむの。クールな彼らしいプレイだけど、変態ぽくてプチSMだと思う。
 腰を動かし始めると逝きそうになるけどなかなか逝かせてもらえない。マダマダといってお尻を叩いたり、オッパイをつねったり、集中を切れさせる。そのくせ「サホは可愛い!逝き顔がイイ!最高にエロイ!」と煽ったりする。
 そんな風にしつこくいたぶって逝きたくて苦悶するサホを楽しむのよ。
 限界に達したサホが狂ったように腰を振りだすと、彼も一気にテンションを上げてイクイクって、サホの痙攣とともに昇天してしまう。サホは恍惚の大波にさらわれて彼の上で失神してしまう。一心同体で最高のエクスタシーだった。
 でも、だんだんサホの独り芝居じゃないかと思うようになったんです。
 サホは騎乗位で逝きそうなのに、下で指示する彼はなかなか逝かない。サホがヒートアップすると、抑えようとお尻をつねったり、首を締めたり、乳首を噛んだり、それでもサホが逝ってしまい、彼が逝きそびれてしまう。
 完璧だった二人のHが少しずつズレ始めたんです。
 そんなある日、苛立った彼が嫌がらせをエスカレートさせたんです。元々サディステックなところがあったんだけど、信じられる?!全開状態のサホの乳首に火のついたタバコを押しつけたの。ワアー!絶叫して飛び上がってしまった。
 「ヤメテ!痛いじゃない!火傷するじゃない!」
 Hなんか吹っ飛んで本気で怒ってるのに、彼ってニヤニヤしてる。
 「愛の証しじゃん・・イイ思い出だろう。」
 「何いってるの!ふざけるんじゃないわ!」
 サホの怒りが爆発しました。
 「何が愛よ!おかしいんじゃない!サホを傷つけて!ほんとうに愛してるの!」、
 「Hが済んだらすぐにパソコンするし!サホとパソコンとどっちが大切なの!?」
 悔しくて情けなくて、日頃の不満が涙と一緒に噴きだしました。
 「分かりあおうといったじゃない、サホは家族のことも自分のことも全部喋ったわ、アキラは自分のことをいわないじゃない!」
 「会えばHばかりで・・どうして?・・なぜ?」
 泣きじゃくりながら詰め寄りました。
 彼は申し訳なさそうにサホを抱きしめ、黙って背中をさすっていました。でも、ぎこちなくて心が伝わってこない。
 「・・ほんとうにサホのことを愛してるの?」
 彼の手が止まりました。しばらく思案してから途切れがちに応えました。
 「・・ゴメン、サホとすぐHしただろ。・・Hに夢中で話せなかった。」
 「・・それにオレはつまらん男で、家族はバラバラで切れている。・・自分のことはいいたくないんだ。・・ゴメン。」
 肩を震わせながらサホは真っ直ぐ見つめました。
 「・・サホはどうしたらイイの?・・これからもHするだけ?」
 彼の目が苦しそうにもがいています。辛そうで、悲しそうで、なかなか言葉が出てきません。目を伏せて言いました。
 「・・考えさせて欲しい。」
 「もういい!」
 彼の手を振り切りって立ち上がりました。
 帰り支度をしながら思ったんです。サホを愛していない、Hしたいだけなんだ。だから自分のことを語らないんだ、心を通わそうとしないんだ。
 部屋を出るときも座り込んだままで、サホはもう終わりだと思いました。
 「・・Hだけならもう会わない!」



 会わないって啖呵を切ったのにアキラのことが忘れられない。
 失ってその存在が分かるっていうか、彼は思った以上に深く食い込んでいたんです。物事を引き摺らないサホが珍しく悶々として、眠れないままメールをしたんです。
 「感情的になってゴメンね・・あれからアキラの重さを感じています。考えさせて欲しいといったよね。そのときは頭に来たけど、冷静になれば次のステップだから当然かも・・大切なアキラだからもう少し待ってみます・・嬉しい返事を期待してます。」