サホとアキラとチェゲバラ
はじめに
アキラってよく分からないの・・
彼が分からないだけじゃない、サホの気持ちもよく分からないの・・彼が好きだけど一緒にいたくないし、メロメロだけどあんなヤツって思ってる。デリヘルに登録したのも彼のせいかもしれない。でも、旅先からメールが届いて心が揺れています。
アキラとはバイト先のコンビニで知り合いました。
当時、近くのお店で自暴自棄になった若者が車で突っ込んで死傷者を出す事件があったから、辞める人がいてすぐに採用されました。彼は以前から働いていて無口っていうか、余り笑わない子で切れ長な目がクールだった。高校を中退したとかで、若いのに疲れた感じで後姿が淋しそうだった。賞味期限切れの弁当をこっそりホームレスのお爺さんにあげたりして、気持ちの優しい子なんだと思いました。
仕事ぶりは真面目で、シフトが埋まらないとカバーしてたから、彼の休みが続くと店長が困って、誰か様子を見てきてくれないかと頼みました。サホは新米だったけど、彼と一緒に帰ったことがあって手を挙げました。彼の住まいは帰り道だったし、何よりアキラのことが心配だったんです。
店長から地図をもらって尋ねたんですけど、彼の家は路地裏の古びたアパートで、切れかかった外灯が点滅し階段がミシミシ軋みました。いかにも昭和って感じで、ドアを叩いたけど反応がなく、「サホです」と声をかけると顔を出しました。
熱っぽい表情でゴホン、ゴホン咳き込んでました。
「大丈夫?」
「・・熱があるんだ、迷惑かけてゴメン。」
「心配しなくってイイのよ、ゆっくり休んで。ハイこれ!店長から・・」
元気づけようと明るく振る舞ったけど、部屋は真っ暗でパソコンが青白く光っていました。こんな暗い部屋でひとり寝込んでいるのかと思うと、可哀相な気持ちになりました。
「ちゃんと食べてるの?」
「食欲がないんで・・」
憔悴した感じでいつものクールさがありません。
「食べなくちゃダメよ。・・明日、サホが作ったげるね。」
申し出を断る風でなく、サホはそれだけいって帰ったんですけど、あんなオンボロアパートで独りで寝ていると思うと、何か辛くて胸がキュンとなりました。
一
翌朝、サホはウキウキ気分で目覚めました。
冷たい空気が遠くまで澄んで真っ青な空がキラキラ輝いています。身体が軽やかで気持ちも爽やか、生まれたてみたいで何もかも新鮮だった。月一の女の子の日が終わったから?それともアキラにご飯を作ってあげるから?
普段はスッピンでジーンズだけど、その日はミニスカートをはいてお化粧しました。セータを羽織って帽子を被るとお嬢さんぽくって、雑誌の表紙になってもおかしくない。サホってイイ線いってるんだと我ながら嬉しくなりました。
そろそろ鍋の美味しい季節だなと思っていたから、駅前スーパーで色んな具材と調味料、それに鍋がないかも知れないとアルミ鍋も買いました。男の子の部屋に行くのは久しぶり、ワクワクしながらアパートに向かったんですけど、すれ違う男の人がジロジロ見てフェロモンがいっぱい出ていたのかも知れない。
壊れそうな木造アパートの廊下を通って部屋の前に立ったとき、突然胸が高鳴りました。だって男の子の部屋で二人きりになるのは久しぶりなんだもの。そこで何が起こるか、想像するだけでアア~て感じ、大きく息を吸ってからドアを叩きました。
「今日わ、サホで~す。」
「オ~可愛い、別人みたい!」
お化粧に驚いた彼の顔が少年みたいに輝きました。
「サホのおかげで熱が下がったよ、むさ苦しいけどどうぞ。」
「ほんとう、良かった!ご飯作ってあげるからね。」
サホは喜び勇んで部屋に入ったんですけど、何コレ?!
男の体臭?体液?腐ったバナナの匂いがする。コタツの周りは衣類や雑誌やグッズが散らかってるし、サホはママに似て汚い部屋に耐えられないんです。
「男のひとり暮らしはこれだからね、お掃除するわ!」
戸惑うアキラを尻目に、窓を開けて部屋を片付け始めました。
散らかった衣類やガラクタを押し入れに放り込み掃除機をかけると、狭い部屋は見違えるほどキレイになりました。でも、壁に一枚、薄汚い男の大きなポスターが貼ってある。サホは腕組みして尋ねました。
「このひげ面のベレー帽の人、だれ?・・何とかならない?」
ニヤニヤしながらサホの腰に手を当てました。
「サホは知らないだろうな・・ゲバラだよ。」
「ゲバラ?・・昔のロックシンガー?」
彼の手がお尻に伸びて欲情した低い声でいいました。
「ボリビアで殺された革命家・・サホは関係ないよな。」
「ヤメテ!」
彼の手をピシャと叩くと、ポスターを剥がすのを諦めて料理にかかりました。料理といっても鍋だから具材を切って盛りつけるだけ。
「今日は鍋よ、暖まるわよ。」
「もう、温まってるんだけど・・」
コタツに入ったアキラがミニスカからはみ出た太ももを食い入るように見ています。細い目が光って蛇みたい。
「ママが看護師さんだったから家事をしてきたの、お料理は得意なのよ。」
「フ~ン、サホってイイお嫁さんになれるんだ。」
「それはどうだか?」
案の定、煮炊きする鍋がなく、買ってきたアルミ鍋に具材をいっぱい詰め込んで、沸騰させるとコタツに運びました。食欲の戻ったアキラが慌てて口に入れてアチッチ!サホも朝食抜きだったので二人は夢中で鍋を突きました。二人とも汗だくになって、満腹したアキラは食った!と大の字になり、膝を崩したサホはフ~とお腹を擦りました。
お腹がいっぱいになると何となくHな気分になる。
寝転がった彼が熱い眼差しで見てるし、サホもイヤらしい気分になりました。これ見よがしにミニスカのホックを外し、セータを脱ぐとブラウスのボタンを外しました。
「暑い、暑い、汗かいちゃった!」
ブラウスをはたくサホをアキラが蛇みたいに見つめています。目の奥がチラチラ燃えて、サホは蛇に睨まれたカエル、だんだん力が抜けていきます。ヤバイ!気を取り直してテーブルを片付けました。
でも、手を伸ばすとはだけたブラウスからオッパイが見えるし、立ち上がるとお尻が丸見えで、病上がりの彼を煽ったみたい。サホが立ち上がると突然襲いかかったんです。後ろからうなじに食らいつきオッパイをわしづかみアソコに手を伸ばす。
アア~サホは思わず声を上げちゃいました。
久しぶりだったから燃えちゃってすぐに逝ちゃいました。アキラって若いのにいやらしいの、サホは散々もてあそばれて何度も逝かされたんです。アソコが痙攣しちゃって、彼もイクイクって爆発したんだけど、その後は真っ白で何も覚えていない。きっと失神したんだと思う。
目を覚ますとアキラがパソコンを覗いていたわ。あのまま抱き続けて欲しかったのに・・甘えたくて声をかけると横に来ました。サホは猫みたいにすり寄りました。
「・・サホ、どうだった?」
アキラってよく分からないの・・
彼が分からないだけじゃない、サホの気持ちもよく分からないの・・彼が好きだけど一緒にいたくないし、メロメロだけどあんなヤツって思ってる。デリヘルに登録したのも彼のせいかもしれない。でも、旅先からメールが届いて心が揺れています。
アキラとはバイト先のコンビニで知り合いました。
当時、近くのお店で自暴自棄になった若者が車で突っ込んで死傷者を出す事件があったから、辞める人がいてすぐに採用されました。彼は以前から働いていて無口っていうか、余り笑わない子で切れ長な目がクールだった。高校を中退したとかで、若いのに疲れた感じで後姿が淋しそうだった。賞味期限切れの弁当をこっそりホームレスのお爺さんにあげたりして、気持ちの優しい子なんだと思いました。
仕事ぶりは真面目で、シフトが埋まらないとカバーしてたから、彼の休みが続くと店長が困って、誰か様子を見てきてくれないかと頼みました。サホは新米だったけど、彼と一緒に帰ったことがあって手を挙げました。彼の住まいは帰り道だったし、何よりアキラのことが心配だったんです。
店長から地図をもらって尋ねたんですけど、彼の家は路地裏の古びたアパートで、切れかかった外灯が点滅し階段がミシミシ軋みました。いかにも昭和って感じで、ドアを叩いたけど反応がなく、「サホです」と声をかけると顔を出しました。
熱っぽい表情でゴホン、ゴホン咳き込んでました。
「大丈夫?」
「・・熱があるんだ、迷惑かけてゴメン。」
「心配しなくってイイのよ、ゆっくり休んで。ハイこれ!店長から・・」
元気づけようと明るく振る舞ったけど、部屋は真っ暗でパソコンが青白く光っていました。こんな暗い部屋でひとり寝込んでいるのかと思うと、可哀相な気持ちになりました。
「ちゃんと食べてるの?」
「食欲がないんで・・」
憔悴した感じでいつものクールさがありません。
「食べなくちゃダメよ。・・明日、サホが作ったげるね。」
申し出を断る風でなく、サホはそれだけいって帰ったんですけど、あんなオンボロアパートで独りで寝ていると思うと、何か辛くて胸がキュンとなりました。
一
翌朝、サホはウキウキ気分で目覚めました。
冷たい空気が遠くまで澄んで真っ青な空がキラキラ輝いています。身体が軽やかで気持ちも爽やか、生まれたてみたいで何もかも新鮮だった。月一の女の子の日が終わったから?それともアキラにご飯を作ってあげるから?
普段はスッピンでジーンズだけど、その日はミニスカートをはいてお化粧しました。セータを羽織って帽子を被るとお嬢さんぽくって、雑誌の表紙になってもおかしくない。サホってイイ線いってるんだと我ながら嬉しくなりました。
そろそろ鍋の美味しい季節だなと思っていたから、駅前スーパーで色んな具材と調味料、それに鍋がないかも知れないとアルミ鍋も買いました。男の子の部屋に行くのは久しぶり、ワクワクしながらアパートに向かったんですけど、すれ違う男の人がジロジロ見てフェロモンがいっぱい出ていたのかも知れない。
壊れそうな木造アパートの廊下を通って部屋の前に立ったとき、突然胸が高鳴りました。だって男の子の部屋で二人きりになるのは久しぶりなんだもの。そこで何が起こるか、想像するだけでアア~て感じ、大きく息を吸ってからドアを叩きました。
「今日わ、サホで~す。」
「オ~可愛い、別人みたい!」
お化粧に驚いた彼の顔が少年みたいに輝きました。
「サホのおかげで熱が下がったよ、むさ苦しいけどどうぞ。」
「ほんとう、良かった!ご飯作ってあげるからね。」
サホは喜び勇んで部屋に入ったんですけど、何コレ?!
男の体臭?体液?腐ったバナナの匂いがする。コタツの周りは衣類や雑誌やグッズが散らかってるし、サホはママに似て汚い部屋に耐えられないんです。
「男のひとり暮らしはこれだからね、お掃除するわ!」
戸惑うアキラを尻目に、窓を開けて部屋を片付け始めました。
散らかった衣類やガラクタを押し入れに放り込み掃除機をかけると、狭い部屋は見違えるほどキレイになりました。でも、壁に一枚、薄汚い男の大きなポスターが貼ってある。サホは腕組みして尋ねました。
「このひげ面のベレー帽の人、だれ?・・何とかならない?」
ニヤニヤしながらサホの腰に手を当てました。
「サホは知らないだろうな・・ゲバラだよ。」
「ゲバラ?・・昔のロックシンガー?」
彼の手がお尻に伸びて欲情した低い声でいいました。
「ボリビアで殺された革命家・・サホは関係ないよな。」
「ヤメテ!」
彼の手をピシャと叩くと、ポスターを剥がすのを諦めて料理にかかりました。料理といっても鍋だから具材を切って盛りつけるだけ。
「今日は鍋よ、暖まるわよ。」
「もう、温まってるんだけど・・」
コタツに入ったアキラがミニスカからはみ出た太ももを食い入るように見ています。細い目が光って蛇みたい。
「ママが看護師さんだったから家事をしてきたの、お料理は得意なのよ。」
「フ~ン、サホってイイお嫁さんになれるんだ。」
「それはどうだか?」
案の定、煮炊きする鍋がなく、買ってきたアルミ鍋に具材をいっぱい詰め込んで、沸騰させるとコタツに運びました。食欲の戻ったアキラが慌てて口に入れてアチッチ!サホも朝食抜きだったので二人は夢中で鍋を突きました。二人とも汗だくになって、満腹したアキラは食った!と大の字になり、膝を崩したサホはフ~とお腹を擦りました。
お腹がいっぱいになると何となくHな気分になる。
寝転がった彼が熱い眼差しで見てるし、サホもイヤらしい気分になりました。これ見よがしにミニスカのホックを外し、セータを脱ぐとブラウスのボタンを外しました。
「暑い、暑い、汗かいちゃった!」
ブラウスをはたくサホをアキラが蛇みたいに見つめています。目の奥がチラチラ燃えて、サホは蛇に睨まれたカエル、だんだん力が抜けていきます。ヤバイ!気を取り直してテーブルを片付けました。
でも、手を伸ばすとはだけたブラウスからオッパイが見えるし、立ち上がるとお尻が丸見えで、病上がりの彼を煽ったみたい。サホが立ち上がると突然襲いかかったんです。後ろからうなじに食らいつきオッパイをわしづかみアソコに手を伸ばす。
アア~サホは思わず声を上げちゃいました。
久しぶりだったから燃えちゃってすぐに逝ちゃいました。アキラって若いのにいやらしいの、サホは散々もてあそばれて何度も逝かされたんです。アソコが痙攣しちゃって、彼もイクイクって爆発したんだけど、その後は真っ白で何も覚えていない。きっと失神したんだと思う。
目を覚ますとアキラがパソコンを覗いていたわ。あのまま抱き続けて欲しかったのに・・甘えたくて声をかけると横に来ました。サホは猫みたいにすり寄りました。
「・・サホ、どうだった?」
作品名:サホとアキラとチェゲバラ 作家名:カンノ