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エイユウの話~狭間~

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 そう考えると、不幸な境遇なのね。

 そんな感想が出てきた。はっきりいって、これは同情じゃない。他人事よ。大変なんだなぁっていうのと同じレベルの話。
 だって同情してたらここで引き返すじゃない?でもあたしは引き返さないもの。だって、手ぶらで帰ったらあたしの沽券に関わるわ。
 あたしはわざと彼が起きないようにこっそりと近くに足を運ぶ。音も立てていないし、完璧な移動よ。彼は目を瞑ったまま安らかに息をしていて、それがイラッとした。そのまま顔の横で座り込むと、大きめの声で呼んでやったわ。
「ケルティア!」って。
 え、なんでファーストネームじゃないのかって?覚えてないもの。キー・・・なんとか、でしょ?授業に出てこないやつの名前を覚えられるほど、あたしだって頭よくないわよ。
 ケルティアは飛び起きると、しゃがみ込んでたあたしのひざに強く頭を打ったわ。おかげであたしは尻餅をついて、彼の頭はもう一度草の上に落ちてた。相当痛かったのか、ふるふると小刻みに震えてたわ。あたしだって痛いのに。
 額を押さえていた腕を目の上に移動させた彼は、ポツリと声を漏らした。
「・・・導師様にでも呼ばれたんですか?」
 同学年だし同年代だし、敬語を使われる覚えはない。きっと、準導師と勘違いしているのだろう。あたしはすくっと立ち上がると、彼から三歩離れた。
「残念、準導師様よ」
 答えたにも関わらず、彼はあたしを見ない。話す相手と目を合わせるのは全人類に共通する常識じゃないの?あたしは不快感を強めた。
 しかし彼は逆に、あたしに背を向けるように寝返りを打った。金色の髪がさらりと動く。日の光の下では、鏡のようにその光を反射して輝いていた。陰鬱な彼の態度とはそれはもう正反対に。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷