小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

エイユウの話~狭間~

INDEX|45ページ/56ページ|

次のページ前のページ
 


 なのに、以来彼は授業にあまり出なくなってしまった。テストが月二回にまで減り、彼が来るのはその時だけ。それ以外は見かけることすらなくなってしまった。それなのに、綺麗に満点というクラス最高点をものにしていくんだから、悔しいったらないわ。あたしの連敗記録も絶賛更新中よ。
 そんなある日、魔術社会学の授業中に、講師である心の準導師が私たちに尋ねた。
「キートワース・ケルティアを知っているものは?」
 誰も手を挙げない。名前なら知っているけども、準導師が尋ねているのは、その所在地だ。何も答えないあたし達に対し、心の準導師は名簿を手にした。
「えー・・・っと、セレナ!」
「はい」いきなり呼ばれて驚いたあたしは、思わず立ち上がってしまった。周りから笑い声が起こる。恥ずかしくなって座り直そうとすると、準導師様から静止がかけられる。嫌な予感。
「次高術師だよな?ケルティアを探してきてくれるか?」
 これに「嫌です」とはっきり答えられる生徒は、果たして何人いるのだろうか?あたしは一般を外れていないので、渋々何とかケルティアを探しに行くことになった。
 教室を出てとぼとぼと歩く。授業に出ないで優良成績が取れるなんてうまい人生ないのよ。あたしは金糸の彼を恨んだ。大きくため息をつきつつ、ふと中庭を見下ろした。落ち込んだ気分に緑色のじゅうたんが染みる。なにかがキラキラと輝いているのが目に入った。綺麗だなぁとぼんやりと思ってから、ふと我に返る。窓を開けて身を乗り出して広葉樹のふもとあたりが見えるように動いた。するとそこに探すべき金色が見える。

 あそこにいたのね、金糸めっ!

 そろそろと近づいていくと、そこにはすやすやと眠る彼がいた。面立ちはたぶん綺麗なほう。かっこいい人が好きなわけじゃないから、一般的な基準ってのが解らないけれど。金色でなければ、それこそ女の子たちがもてはやしてついて回っただろう。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷