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エイユウの話~狭間~

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「痛い!痛いって、解ったから」
 恐る恐る目を開けると、黒豹が彼の顔を舐めているところだった。ざらざらの舌が痛いようで、彼は笑いながら黒豹の頭を撫でている。それを見て、きっと全員が理解したわ。
 彼は使用量を間違えたんじゃない。実力でこの黒豹を呼び出して見せたんだって。
 格の差を見せ付けられたクラスメートたちは、「金糸に負けてたまるか」と頑張る人と、何も言えずに呆然とする人の二つに分かれた。あたしは情けないことに、このときは後者のほうだった。呆然と立ちすくんだまま、イモリを返してあげることも忘れて、導師様に言われるままに黒豹と契約をする彼を見てしまう。
 さっきまでの青空が、踊らされたあたしを嘲笑っているように輝いた。
 その後、二回、三回と授業をやるうちに、あたしは鳥型まで呼び出せるようになったわ。クラスの人たちもほとんどの人が鳥型くらいにまで到達していた。正直、召喚に関してはあたしはあまり上手じゃなかったの。そこは認めるわ。
 その一方で彼は、最後の授業の日に大きな龍型の魔獣まで呼び出せるようになっていた。
 契約は一人二体まで。一体だけだと危険だからってことなんだけど。でも大体が一番強い一体ばっかり使ったり、それを見越したあたしみたいに一体としか契約しなかった人も多い。だから、彼が黒豹以外にどんな魔獣と契約したのかは知らない。でもきっと、二体なんて選べないくらい凄いのを呼びまくったんだわ。
 でもあたしはもうくじけなかった。そして契約したばかりのメーラシエラという孔雀型の魔獣を思い起こした。彼と絶対ベストパートナーになって、あんな奴、絶対ぎゃふんと言わせてやるわ。そう決心した。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷