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エイユウの話~狭間~

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 昼が過ぎればもう試験初日だ。導師様が前に立って、召喚用の紋を地面に描かれる。あたしたちはそれを見ながら、地面に同じ紋を書いた。ちなみにこれは覚えるものではなく、この期間だけ教えてもらえるものね。導師様に聞きに行けば別だけど。覚えちゃいけないとも
 召喚の呪文は導師様の描いた紋の近くに書かれているので、それを読むだけ。あとは私たちの魔力を使って、それで足りる魔物が魔界から紋を通って出てくるわけ。
 補足をするなら、現実世界にも魔物はいるわ。でも彼等は人の言葉を解さないの。だから、従わせるには不向き。契約はやろうと思えばできるみたいだけれど。そのために、人語を解する魔物を、魔界といわれる第二世界から召喚することで従わせるの。言葉が解れば、簡単でしょ?
 でも、実はこの時はすっごい注意が必要なの。なぜなら、自分の魔力を上回る魔物が出てきちゃうことも多くて、そうすると手に負えないから力ずくで魔界に返さないといけなくなるの。だから授業の一環として行うわけね。紋を覚えちゃいけないのもそこに起因するみたい。
 時間内なら何回でも召喚が許可されていた。魔力がある限り、なんていう必要はないでしょ?倒れたら大変なのは、みんな承知の授業だもの。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷