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エイユウの話~狭間~

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「そういえば、彼らしいよ」
「・・・何が?」
 あまりに抽象的な言葉選びに、あたしは少し考えてから聞いた。この子はたまに、そういうとっぴな発言をする。すると彼女は、「信憑性はないんだけど」と続けた。
「今までの小テストの第一位、全部」
「え?」
 全部、という言葉に思わず固まった。信じられないという気持ちで言ったのだが、彼女は聞き取れなかったと判断し、もう一度あたしにその衝撃を突きつける。
「だから、今までクラス最高点を総なめにしてるって話。金糸の最高術師が出るんじゃないかって噂で持ちきりよ」
 すでにこのときノーマン先輩が金糸の最高術師になってるんだけど、まだこのときは茶髪だったらしいから、金糸のイメージはなかった。だから、そんなことが噂になるのだ。噂、というよりは、懸念とか嫌悪とか、そういうマイナスイメージのほうが強いかもしれない。
 でももう後半はほとんど聞いていなかった。だって、今まで小テストは十回以上はあったのよ?一週間に二個も三個もあって、入学から一ヶ月近く経ってるんだもの。それの最高得点を総なめにしてるなんて、どんだけ化け物なの?あ、もちろん迫害的な意味はないわ。
 あたしはもう一度彼を見た。もくもくとご飯を食べている彼は、根暗には見えるが、天才には見えない。もちろん秀才にも。ということは・・・
 あたしよりも努力しているやつがいたってこと?
 その日の昼はそれが気になって、ご飯がきちんとお腹に入らなかった。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷