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エイユウの話~狭間~

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「どうしたの?」
「最悪!今日は金糸がいるぅ」
 雨じゃないから大丈夫だと油断していたらしい。彼女がそらした視線をたどってみると、そこに綺麗な金色が見える。それが頭髪だと解るのに、頭がフリーズしたせいで時間がかかった。当然よ、金髪迫害思想が蔓延する中で、どうして金髪が堂々といると一直線に考えられるわけ?
「ああ、なんだっけ?キートワース、だっけ?」
 もう一人が眉間にしわを寄せてつぶやいた。彼女の顔を見てから、あたしは彼をもう一度見る。金髪迫害思想なんて持ってないあたしにとって、覚える機会がなかったのよ。必要もないし。着ている服が青色で、同じ専攻の人だとわかった。
「あの人、緑専攻なんだ。何年?」
 そうあたしが尋ねると、友人二人は驚いた様子で私を叱った。
「やだ、ラジィ、何言ってんのよ。うちのクラスにいるじゃない」
「いくら他に関心がないからって、彼は有名よ」
 そんなこと言われたって、興味のないものは興味が無いんだもの。だいたい、金髪迫害思想だって、ジャームは何も悪いことしてないじゃないって思うほうだし。しかも、こんなレベルの高い学園に入ってるんだから、アルディの金髪だって、バカだってわかるわよ。あ、あたしはバカじゃないけど。
 淡白すぎるあたしの反応がつまらなかったのか、友人の一人がさっさと席を取るために歩を進めた。残った友人が何かを思い出す。「あ」というので、あたしは彼女のほうに目を向けた。そして真剣な顔をする。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷