小説が読める！投稿できる！小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ！

彼女はそれで近づいた・１

　あたしがキートワース・ケルティアという人物を知ったのは、初めての試験が終わったころだった。初めての試験はまだ順位付けとか関係ない段階で、緑(りょく)でいえばそれは召喚試験にあたる。
　召喚試験は、三回の授業の中で召喚した魔物一体と契約するというもの。その何が成績になるかといえば、魔物の種類や能力の高さ、大きさなんかも評価対象になる。そしてこれは初めての試験であると同時に、初めての魔法の実践にも当たるの。
　その日、あたしはすこぶる調子がよかったわ。授業の初日で、初めて使える魔法に心も弾んでた。登校したときも、友達にも言われたわね。
「今日調子よさそうね」
「ええ！テストでは絶対一位を取ってやるのよ！」
　それまで行われていた筆記の小テストは、ずっと一位じゃなかった。一位を取るために寝る間も惜しんで勉強もした。でも授業で言われる最高得点は必ずあたしより数点上で、だから自他共に二位だと思っていた。一位の点数以外、絶対言ってくれないんだもの。ちなみに二位だって他の人にばれたのは、あたしがおおげさにへこんじゃうから。
　だから、勉強は負けても技術なら一位のやつにも負けないと決心してた。
　そう。一位を取った経験のあるやつ全員に、土を踏ませたかったんだ。あたしの上を悠々と飛んでいく、そいつらに。そういう意味でも、今日のあたしの勢いは半端ない。
　今日の天気はあたしの気分を映したように晴れ晴れとしていて、おかげであたしの気合もどんどんあふれていった。はっきりと見える太陽が真南を通るころ、昼食を食堂に食べに行く。友達と話しながら歩いていると、その内の一人が「きゃっ」と声を上げた。虫か何かでもいたのかと思って、あたしは尋ねる。