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エイユウの話~狭間~

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 その日、私たちが青年に会いに行きましたが、青年は家にいませんでした。私たちは二人で家の周りを探して歩きましたが、青年の姿は見えません。彼は私に青年は他に家を持っているのかと聞いてきました。そしてそこで私は初めて思ったのです。
 青年の家族は一体どんな人間なのだろうと。
 しかしそれは、今考えれば考えてはいけない話だったのでしょう。当時若く考えの浅い私は、彼にその疑問をぶつけてしまいました。すると彼は、狂ったような表情を浮かべたのです。心の底から楽しそうなのに、おどろおどろしい雰囲気を出しながら。
 その変化に怯んだ私に、彼は提案してきたのです。
「青年の実家を探してみないか」と。

―――――「黄金の術師(ジャーム・エワ・トゥーロル)・第二章第五話」より一部抜粋

作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷