エイユウの話~狭間~
「うるせぇ!」「ちょっと待ってて!」
怒鳴られた私は、つい謝ってしまいました。キースさんが心配そうな顔で私を見てきます。好きな人にしょっぱなからこんな惨めな姿を見られては、涙するほかありません。どうしてこうなんだろうと落ち込みながら、私は彼らに自己紹介と忠告を済まし、その場を去りました。
翌日。準導師様が前の授業で遅れるとのことで、私は一人で学食を食べに行きました。一人で、といっても、準導師様が来るまでのつもりです。
昨日の行為に関して、私は少し後悔していました。慣れないことをすると、痛い目を見るのだと。いつも誰かに自分から話しかけることなんて無かったので、あんな恥をかいたのだと、思い返して気持ちはどんどんウツになります。
そんな私の机の横で、一人の人が足を止めました。準導師の方がきたのかと思ったのですが、紺色のズボンを見て、そうじゃないと解りました。また他の準導師が話に来たのかと、重い気持ちで顔を上げました。そこに立っていたのは。
「こんにちは」
そして私は彼らと一緒に行動するようになりました、私の予知があの三人で起こったならば、私という異分子が何か変えられるかもしれない、と。
淡い、期待を抱きながら。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷