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エイユウの話~狭間~

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 映像の多くは試験から始まります。何の試験かはわかりませんが、試験中に不正を進言する生徒が現れます。不正、といってもただの僻みで、成績優秀な生徒が気に食わないというものです。そのやっかまれる生徒が、キースさんでした。いや、当時はただの緑の魔術を選考する金髪の少年というくらいでしたけれど。それでも彼だと、ほぼ確証出来る条件です。おそらく、金髪迫害思想が発端なのでしょう。そこではまだ問題は起こりません。
 やっかみが受け入れられなかった生徒たちは、不満を抱きます。そんな彼らがキースさんへの報復を思いつき、それを実行に移すのです。その報復というのが、この学園最大の禁忌と呼ばれる、「正方形の木鏡」を発動させる、というものでした。正方形の木鏡には、数十年前に魔物化した生徒が封印されているといいます。魔力を流すことが魔物に力を与えるかもしれないため、魔術使用後に触れることは厳禁とされているのが現状です。学園全体が封印の陣の意味を持つため、生徒がまったく触れられないところに移動するのは不可能だったとも言います。
 彼らは緑の術師です。木鏡内の魔物を呼び出し、使役しようとたくらんだわけです。彼らはどこからか木鏡発動の陣を調べ出すという準備までしていました。それを実行しようと作戦を立てているとき、ある人が通りかかりました。そして作戦を洩れ聞いて、それを止めさせようとします。それが、明の達人です。
 彼らは混乱のあまり、彼を木鏡の上に突き飛ばしてしまいます。明の達人の魔力を活力として得た木鏡は明の達人を飲み込んでしまうのです。
 シーンが少し飛びます。今度は緑の魔女が走っている姿が映ります。彼女はどうやらキースさんを探しているようです。なぜ探しているのかは解らないのですが、必死に名前を呼びながら、走っています。声は聞こえませんが、口の動きからそうだと思いました。
 緑の魔女は走っている最中に、先ほど木鏡に飲み込まれたはずの明の達人に会います。そこで、彼女は彼の手によって命を落としてしまいます。明の達人は、彼女の返り血を浴びながら、満足そうに笑うのです。私はこのシーンで何度も戻しそうになりました。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷