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エイユウの話~狭間~

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「ありえませんよ。緑の魔女は、流の導師様の熱狂的なファンとして、教師の間でも有名ですから」
「・・・流の導師様の?」
 私に気を遣ってそんなことを言っているのかと思いました。笑われたことやその気遣いは、その時の私にとっては不快以外の何者でもありません。疑心暗鬼の目を向ける私に対し、準導師様は平然と答えられました。
「そうです。流の導師様のファンクラブを作ったのも彼女です。魔禍の喚使の世話係を請け負ったのも、流の導師様の命だから、と言われていますよ」
 そう言って自分の買った学食を準導師様は置かれました。私も最近は学食なのですが、準導師様が自分の分の前に買ってくださるのです。
 その事実を聞いて、私は一瞬嬉しくなりました。が、彼が彼女を好きだという事実は変わりません。
「おや、でも今日は少し珍しい方と一緒にいるみたいですよ?」
 唐突な準導師様の発言に、私は驚いて彼を探しました。お日様のような金色の髪は、この人混みの中でもすぐに解りました。
 彼と一緒にいるのはあの少女ではなく、少し筋肉質な少年でした。えらそうな格好の少年と対面している彼は、楽しそうに笑っています。彼女といた時と同じようなそれで。
 少女の後から出会った人物が、彼に笑顔を向けられている。その状況に、私はとても負けた気がしました。私が諦めたことを、その人はこなして見せつけられたからです。私は思わず準導師様に伺ってしまいました。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷