エイユウの話~狭間~
私の成績は相変わらず上がりませんでした。私の友達も増えませんでした。準導師の方々も私を見張っていました。私の生活は、何一つ変わりませんでした。
それでも、彼という心のよりどころを失った私は、毎日が重たい気がしました。
けれども、私は彼から視線を外しきることはできませんでした。
ある日、準導師の方が私に尋ねてきました。
「最近、魔禍の喚使のところへ行ってませんね」
「・・・まあ、中庭にいないことも多いので」
私の恋心はきっとばれてしまっているのでしょうけれど、まったく構いませんでした。隠す気も無いですし、隠さないほうが情報をくれるからです。
しかしさすがに彼女がいたからとは言えず、あながちウソではない情報を準導師様に告げました。すると、準導師様は納得したように何回かうなずきました。
「まあ、緑の魔女が世話係に任命されましたしね」
緑の魔女。それが彼女の名前でした。私はうつむいて、泣きそうな声を発しました。
「・・・その緑の魔女って、恋人なんですよね?」
きっとじとじとした雰囲気をまとっていたことでしょう。もう確信的だったので、諦めの気持ちも入っていたのです。けれど、それを聞いた準導師様はケラケラと笑い飛ばしました。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷