エイユウの話~狭間~
2 それが彼女を惹きつけた・1
私は、いつも一人でした。小さいころから、みんなと一緒にいられなかったのです。もともと引っ込み思案だったのもありますが、やはりお父さんの仕事が大きく影響していました。お父さんは導師という特異な立場で、おかげで私はあまりいい思いなんてできなかったのです。
「アウリー、うちの学園に入らないか?」
そんなお父さんの提案に、私は乗っただけです。正直に言うと、お父さんの力の届く範囲にとどまろうと考えでした。どんな理由でもよかったのです、誰かが近くにいてくれれば。
そんなよこしまな気持ちから、私は今の学校に入学しました。
入学して一ヶ月間は、オリエンテーションです。その間は、私が一人になることはありませんでした。お父さんが導師を受け持つ魔術の専攻を選んだのだから、当然なのですが。私に媚を売ろうとする人は術師だけにとどまらず、準導師の方々も集まってきたりもしました。
しかし一ヵ月後。能力測定を迎えました。そしてここが、私の転機になってしまったのです。それも悪い転機に。
「アウリー、実にいいにくいが・・・」
もうそれだけで解ってしまいました。
ほかの人とはまったく違う風景。期間内が見れないという魔力使用技能の低さ。映像を見るまでの時間の長さ。どれをとっても、誰と比べても、圧倒的に劣っていました。
圧倒的な劣等生でした。
そこから、私に関わる全てが変わりました。
お父さんは私に無駄な気配りをかけるようになりました。お前は導師の血を継いでいるのだからと、何度も明後日な励ましを私にしました。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷