エイユウの話~狭間~
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ジャームの青年に会ってから、彼は変わりました。誰か一人に固執することも、極端な興味を持つことも無かった彼が、あの青年のことを知りたがったのです。
私は素直に閉鎖的だった友人が、他人に関心を持ってくれたのかと思いました。そのため、とてもうれしく感じたのです。私は私の知る青年に関する話を何度も話しました。一度話した話でも、彼はとても楽しそうに私の話を聞いてくれました。
ある日、彼は私に尋ねてきました。
「あの男は、ほかのジャームと何が違うのか」と。確かに青年と青年以外のジャームとの間にある違いは、耳だけでした。しかしそれだけの違いが、無魔力人種であるジャームに魔力を持たせ、技術だけで操る力まで与えているのです。
私たちは次の休みに、再び彼に会いに行くことになりました。
―――「黄金の術師(ジャーム・エワ・トゥーロル)・第二章第四話」より一部抜粋
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷