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エイユウの話~狭間~

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 目の前に開けた闘技場は、綺麗な青色だった。よくよく見てみると、青い砂利が敷かれているようだ。青なのはきっと、緑(りょく)のカラーだからだろう。ついほかの闘技場もそうなんだろうかと考えてしまう。さっきまで気付かなかったのは、闘技場を見もしていなかったからだ。その闘技場に上がると、もう相手は先に出ていた。相手はポケットから木鏡(もっきょう)を取り出すと、それを軽く放ってまた掴む。それからにやりと笑った。
「明のサボり魔が相手とは・・・お前、ついてねぇな?」
 にやりと笑う相手に、俺は不快感を覚える。「明のサボり魔」とは、俺に付けられたあだ名みたいなものだ。今で言えば、キースの持つ「泣き虫キース」というそれに似ている。相手は平均的な成績というわりに、弱者と思う者にはずいぶん強気だった。いるんだよなぁ、こういうウザイ奴。
 相手が木鏡の面に触れた。召喚の合図であり、試合開始の合図である。今までの試合のおかげで、やり方はなんとなくわかった。横目で見ていたくらいだが。制服のベルトについていた火筒を一本取り出す。それから親指で栓を抜いた。
 会場が沸きあがったのと同時に、俺たちの試合が始まった。
 相手の契約魔は熊のような魔獣だった。普通の熊となにが違うかといえば、耳が長く後ろに流れているところだろう。色が落ち着いた深緑なのもそうだ。フォウンと透き通るような鳴き声も印象的だった。
 熊はその空色の瞳で、俺のことをにらみつけてきた。大型の獣に多いのは木属性。相性はどう見たって俺の分が悪い。っていうか、平均実力とか言うくせに、ずいぶんとたいそうな魔獣連れてんじゃねぇか!
 俺は火筒から水をばら撒いた。火筒も魔法道具の一種だから、普通の試験管とは入る量が違う。一本に一斗缶一個分も入る容量を持つ。そのため、ばら撒いた水で俺の周囲の地面が全て湿った。
「あーらら、水とはね。木属性のドンドガイルとは相性最悪だよ」
「おしゃべりな奴だな、少しは黙っとけ」
 地面に吸収された水を、魔術で持ち上げる。元の姿を取り戻した水は、俺の手の周りをぐるぐると回る。それをみて、相手の熊が動いた。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷