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エイユウの話~狭間~

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 それからだった。特にその時話が盛り上がったわけでもないし、ためになる話をしたわけでもない。センパイ方のために俺が何かしたこともないし、練習試合でともに戦ったなんて架空でもありえなかった。なのに、なぜか俺は毎回センパイたちに呼ばれては、ともに食事をとることになった。
 俺とギールも、俺がさん付けで呼ばなくなるほど打ち解けていた。が、あのノーマンにずっと振り回されても友人を続ける彼に、尊敬の念を今も抱いている。
 ある日、ギールが聞いてきた。
「なあ、キサカ。君は何でいつも授業をサボる?」
「勉強が嫌いだからデスヨ。この学校にだって、突っ込まれたようなもんだし」
 俺は卵焼きを食べながら答えた。俺の食事はもっぱら食堂の定食だ。実に不真面目な回答だったからか、ずいぶんといぶかしがられた。きっと真面目な彼にしてみれば、不思議な答えだったのだと思う。とはいえ、これは事実であるのだから仕方ない。
 再びギールが何か言おうとしたその時、ノーマンが俺の定食の卵焼きを持っていく。
「馬鹿だからだろう?」
 卵焼きをとられて悔しがる俺に、ノーマンが言い放つ。別に卵焼きが好きなわけでもないし、だからたまたま残っていただけで悔しがることもなかった。ここの学食は値段も高いわけでもないなので、俺には大した損もない。でも、「俺のもの」を盗られたあげく、馬鹿といわれて黙ってられるほど、俺も冷静じゃなかった。
「人のもの盗るほうが悪いに決まってんだろ!」
「は?ああ、卵焼きのことか」
 俺の反論に驚いてから、平然とノーマンは納得した。それを見て、俺の方が解らなくなる。じゃあ、何が馬鹿なんだ?きっとその時とてもわかりやすく表情に出てたんだろう。ノーマンはギールを指差した。
作品名:エイユウの話~狭間~ 作家名:神田 諷