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瀬間野信平
瀬間野信平
novelistID. 45975
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火付け役は誰だ!

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「…無駄に早く着いたな。」

誰もいない教室、5クラスある中、俺のクラスは誰も来ていない。
始業式から3ヶ月程度とはいえこんなにだらけてしまうものなのか、因みに今8時15分。

「んーやることもないし暇だな。」

愛用武器チャッカマン(百円均一店産)を腰のベルトから抜いてくるくる回す。
…教室に何も面白いものはない、廊下出るか。

「「誰かいない…」」

呟きながら廊下に出たとき、そこでは俺以外の声が重なった。
やっと他のクラスで誰か来たのか、さて誰か…

「…え?」

「…は?」

相手を見る、相手もこちらを見る。


「…え?」


「…は?」


二度見するものの相手の姿は変わらない。
こいつは間違いない、一房のお下げに低い身長、整った勝ち気な顔、そして手には見覚えのある小型消火器。

「昨日の睡眠妨害魔だろお前!なんで同じ学校なんだよ!」
「それはこっちの台詞!このチャッカマン放火魔が!」

思わず完璧にシンクロした動きでチャッカマンと消火器を構えるがここに妖精はいない。
裏を返せばバディだけで戦っても意味がない。

「………一時休戦しないか、一応学校だからな、高1から問題を俺は起こしたくないんでね。」
「…臆病者、まぁそっちがそう言うなら。」
「休戦提案すら出来ない臆病者には言われたくないが。」

そう言いながら双方チャッカマンと消火器をしまう、にしてもやっぱり勝ち気みたいだな、はっきり言おう、苦手なタイプ。
そういえば昨日襲ってきた時名前を聞いた気がしたのだが忘れている。

「お前、名前は?」
「…デカイ態度ね。」

うん、少なくともお前が言うな。

「別に、バトルロワイヤルなんだから名前聞いたって意味無いんじゃないの。」
「勘違いするなよ、一応同じ学校の同級生としてだからな。しかもバトルロワイヤルでも死にはしないからな。」
「…男子のツンデレキモいわー」
「ほっとけ!」

さっきの俺の台詞より昨日君が去り際に残した台詞の方がツンデレのテンプレだろうよ、それともあれか、この人ツンデレ自覚してないタイプのツンデレか?

「覆水媛佳、私が名乗るからにはあなたも名乗るって考えてもいいのよね。」
「…火口星彦。」
「ぶっ………ちょ…なにそのキラキラ(笑)ネーム、星だけに…」
「ほっとけ!キラキラ(笑)ネームって言うな自覚済みだから!」

名前を言った途端笑い出した覆水を止められはしないがそこまで笑わないでもらいたい、俺の心に物理貫通ダメージ来てるから。

「さて、キラキラネーム君。」
「初っぱなから強引に間違えないでくれるか。」
「まぁよろしく、今度会うのは戦いの場だろうけど。」

そう言いながら覆水は手を振ると自分の教室に戻っていった。



「…夜襲に失敗した奴がここまで堂々と言える台詞じゃないよなぁ…」

ボソッと呟く。
直後他の教室から誰かが大きく転んだ音がしたが気にしないー俺のせいではないでしょー

さて授業の用意用意。



≡≡火付け役は誰だ!≡≡



「暇だーやることがないよー」

一方、寮では暇をもて余した妖精が転がっていた。
口に既に昼御飯のはずのチャーハンのご飯粒がくっついている、因みに現在十時。

「火遊びでもしたいけど…前に皆でやった時は小火出しちゃったんだよねー、結果ローマ市街燃えちゃったし、止めとこーっと…」

色々とヤバい事を言っているがそれに突っ込むべき人物も今は学校、とどのつまりこの妖精もボッチ状態なのだ。

「まったく、彦も気がきかないよね、冷凍のチャーハンだけで私が暇を潰せると思ってるんだから。」

ゴロゴロしている妖精が目線を向けるキッチンには爆発跡やススが付いており事故現場のように見える、さぞ家主の少年が帰ってきたら怒られるであろう。
ただそんなことも気にせず少女はついにゴロゴロするのにも飽きて立ち上がる。

「…仕方ない、外で何か外食しようっと。」

そう言いながら預金通帳を鷲掴む妖精、無論無許可。

「鍵かけて、お金持って、…服は…替えがないから良っか。よし!町内一周美味しいもの探しの旅に出発!」
預金通帳の数字も見ずに飛び出した妖精の頭に節約の二文字は明らかに存在しない。


ただそれを少年が知ることになるのはもう少し後の話、今は家を飛び出す少女を止める障害は無いのだった。







五番、幕引き



作品名:火付け役は誰だ! 作家名:瀬間野信平