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瀬間野信平
瀬間野信平
novelistID. 45975
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火付け役は誰だ!

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△五番、水火、学校を同じくする▼




雀の鳴き声が聞こえる。

「朝か………」

これで日光が差していたら完璧とも言える朝なのだが、前述の通り俺の寮の目の前にはビル、日が差し込んだら逆にホラーだ。
あるとしたらビルが壊れるか、日光がレーザー級の威力をもってビルを突き抜けてくるかだ。
因みに後者なら間違いなく次の瞬間、俺もろとも部屋が貫かれる壮絶なオチがもれなくついてくる。

「下らないこと考えてないで…起きないとな。」

…とはまぁ分かってはいても布団が暖かい、起き上がれない。
タオルケットだけなのにこんなに暖かいのか布団、と少々布団の潜在能力を見出だした、もうちょいマメに干してみようかね。

「…?、タオルケット?」

寝起きの頭を振る、何か違和感。
昨日俺は穂子をタオルケットでぐるぐる巻き(通称ツタンカーメン)にしてベッドの横の所に寝かせたはずだ。

なら何故タオルケットが掛かっている?

そして何故こんなに布団が暖かいのか、それも重ねて考えると導き出される結論は
余りの恥ずかしさに顔を覆いながら思わず叫ぶ。



「穂子ーーーーー!!!!!!!」
「んに゛ゃっ!?何!?何々!?」

やはりそいつは俺の近くに背中合わせで寝ていやがった。



≡≡火付け役は誰だ!≡≡



正座。

「さて、今日からの事を話そう。」
「それ以前に何故殴られたか分かりませんマスター!」

穂子の頭にはたんこぶが鎮座していらっしゃる、無論俺が鎮座させました。

「理由は何ででもだ、というかそこは俺の布団だ。」
「理不尽だよ…彦…女の子をベッドから毛布で梱包して転がり落とすなんて…こんなの絶対おかしいよ!人間に対する扱いじゃないよ!」
「…お前、妖精だろ。」
「うっ…」

しばらく何か言いたげに口を動かし「…そうだけどさぁそうだけどさぁ」とか「でもお年頃の女の子をだよ…」とか聞こえてきたが気にしない事にする。

「それと朝飯は納豆ご飯な。」
「えーフレンチトーストはー」
「うるさいお前はギリシャの神話の中の奴だろうが!フレンチトーストもジャパニーズ・ナットー・ブレックファストも変わらないだろ!」
「だってここに来る前に『ラッキーアイテムはフレンチトースト』って神託で聞いたんだもの…」
「ずいぶん現代的な神託だなおい…」
「因みにこの前のラッキーアイテムはタブレットだったよ。」
「神託というか朝の占いレベルになってるぞ!?良いのか神様!」
「まぁ良いんじゃないかな、最近ヘスティア様も圧力鍋とかクッキングヒーターとか愛用してるしね。」
「………。」

進化と言うべきか順応と言うべきか迷ってなにも言わないことを選択。
でも神話の存在である穂子が何故現代の物に慣れ親しんでるかちょっと分かった気がする、順応してきたって事だな。
それ以前にいくらかまどの神とはいえヘスティアさんがクッキングヒーターで料理は普通想像出来ない。


「さて、俺は朝飯の後学校なのだが」
「穂子も行く!」
「寝言は寝て言え。昼御飯は冷蔵庫にしまってある、チンすれば大丈夫だ。」
「ほうほう、フレンチトースト?」
「いや、卵かけご飯な。」
「チンするのそれ!?というか卵かけご飯作って冷蔵庫しまってあるの!?」
「冗談、チャーハンだ。冷凍の。」
「ほう、チャイニーズ炒飯アルね。でもご飯ならチンより燃やして温めた方が早いんじゃない?」
「お前はチャーハンで備長炭でも作るつもりか!炭化するわ、お前の火力的に!温かいとかそれ以前の話になる!」

古き良きジャパニーズ炭を今作る作らないの問題じゃない、今は昼御飯の話をしているんだ妖精よ。
炭化米とか縄文時代の遺跡でしか出てこないような物を現代の学生寮で作らないでくれ。

「という事で、昼御飯はそれ、昼間は出回っても良いけど鍵を閉めること、それと他の妖精とかを見つけたら」
「見つけたら?」

穂子に予備鍵を投げながら表情を見る。
穂子の目には期待しかない、いや、言っておくがお前の考えてる事は論外だからな。

「…とにかく、俺に知らせろ、絶対にお前だけじゃ勝てないから。」

前回戦った瑞、覆水ペアを考えると直戦力は妖精よりもむしろ、バディになった人間だろう。
妖精で火を操れるとはいえ、一人じゃ敵うまい。

「ぶー、男女差別反対…彦ってもしかして私弱いって思ってる?」
「はい!」
「いい返事!?でも良くない返事だ!」
「前回俺が劣勢でも遊んでたのは誰かなぁ?」

ビクンと穂子が体を強ばらせ目をそらす。
悠長に棒倒ししてたからな、ここの妖精さん。

「ま、という事で学校行ってくるわ、四時までには戻るだろ。先程の注意をよく守って大人しくしてること。」
「ふぁーい。」
「返事はシャキッとしろ!」
「シャキッ!」
「違う!いや、違わないけど違う!」




「…まったく、騒がしい。」

玄関扉を閉めながら一人言。
これまでこんな事は無かったからな、俺は部活にも入ってないから。
高1だからとはいえあまり学校で目立つ事もしてないし。

「…つまるところ、ボッチ、堪えるなぁこの非常な現実。」

まぁ少なくともバトルロワイヤル中はこれが続くらしい、良いか悪いかで言われれば


…微妙だな、被害的な面でも決めがたかった。




≡≡火付け役は誰だ!≡≡

作品名:火付け役は誰だ! 作家名:瀬間野信平